607 / 621
36 計略の王子様
1
しおりを挟む
俺を抱き上げて、さっさと控え室に戻ろうとされる清人様。
でも、それは許されなくてね。
背後から追ってきた飛鳥様が、俺を下ろして一緒に来るように、その、声とか顔は周りを気にされてにこやかなんだけど。
目がね。
全然笑ってないし、清人様の襟首を後ろから強引に引っ張る手にも容赦がなくってね。
首を絞められた清人様が臨戦態勢に入って。
二人の姉弟喧嘩をこんな間近で見ることになって、ブルブル震えちゃったよ!
陽太様がすぐに間に入らなかったら、きっと...うん、考えないでおこう!
仕事モードの飛鳥様と、それに渋々付き合ってる清人様。
二人が偉い人やスタッフさんとのやり取りを終えるのを、陽太様と壁際で待っていたらね。
先にスタジオから出ていかれた蓮華さんからは、ギロッと睨まれて心臓がキュッてなったよ。
話の輪から出てきた藤川のお姉さんには、「思ったより良いものが撮れたわよ」って誉められて。
ついでにうなじも見られちゃって。
お姉さん、驚きすぎて思わず出そうになった声を何とか呑み込んで。
陽太さんと無言で会話。
頷いたり、首を軽く振ったりされてなにかを納得されてね。
お姉さんに、生暖かい目で見られたよ。
去っていかれるとき、こっそり「...叔父さんからも頼まれてるし、また別日に話を聞きに行くわ」って言われた。
聞きに来ていただいても、俺に答えられることなんて無いんだけど...
このあと、全部の仕事が終わったことの確認も済んで、挨拶を交わしてスタジオから出ることになったんだけどね。
不機嫌を通り越して清人様と俺に敵意を抱えてる飛鳥様が運転する車にね。
乗ることになったんだよ!
助手席には、ブツブツと声を漏らして今後のことを真剣に考えておられる陽太様。
乗ってきていた送迎車は、清人様と二人になんか出来ないって陽太様が返されてしまったんだ。
上機嫌で俺の隣に座る清人様は、飛鳥様からミラー越しに睨まれても、話しかけられてもスルー。
スルーすればするほど、険悪な表情に深みが増す飛鳥様。
なのに、陽太様は考えることに夢中でフォローをしてくださらない。
確かにね。
飛鳥様からガンガン売られてくる喧嘩を清人様が買われて、車の中で喧嘩が勃発するよりは良いんだけど。
スルーされ続けて飛鳥様の顔がどんどん険しくなっていて⋯
車から降りるまで、目が合わないように、気に触らないようにって。
俺、外ばっかり眺めてたよ。
はぁ、これからどうなるんだろう。
でも、それは許されなくてね。
背後から追ってきた飛鳥様が、俺を下ろして一緒に来るように、その、声とか顔は周りを気にされてにこやかなんだけど。
目がね。
全然笑ってないし、清人様の襟首を後ろから強引に引っ張る手にも容赦がなくってね。
首を絞められた清人様が臨戦態勢に入って。
二人の姉弟喧嘩をこんな間近で見ることになって、ブルブル震えちゃったよ!
陽太様がすぐに間に入らなかったら、きっと...うん、考えないでおこう!
仕事モードの飛鳥様と、それに渋々付き合ってる清人様。
二人が偉い人やスタッフさんとのやり取りを終えるのを、陽太様と壁際で待っていたらね。
先にスタジオから出ていかれた蓮華さんからは、ギロッと睨まれて心臓がキュッてなったよ。
話の輪から出てきた藤川のお姉さんには、「思ったより良いものが撮れたわよ」って誉められて。
ついでにうなじも見られちゃって。
お姉さん、驚きすぎて思わず出そうになった声を何とか呑み込んで。
陽太さんと無言で会話。
頷いたり、首を軽く振ったりされてなにかを納得されてね。
お姉さんに、生暖かい目で見られたよ。
去っていかれるとき、こっそり「...叔父さんからも頼まれてるし、また別日に話を聞きに行くわ」って言われた。
聞きに来ていただいても、俺に答えられることなんて無いんだけど...
このあと、全部の仕事が終わったことの確認も済んで、挨拶を交わしてスタジオから出ることになったんだけどね。
不機嫌を通り越して清人様と俺に敵意を抱えてる飛鳥様が運転する車にね。
乗ることになったんだよ!
助手席には、ブツブツと声を漏らして今後のことを真剣に考えておられる陽太様。
乗ってきていた送迎車は、清人様と二人になんか出来ないって陽太様が返されてしまったんだ。
上機嫌で俺の隣に座る清人様は、飛鳥様からミラー越しに睨まれても、話しかけられてもスルー。
スルーすればするほど、険悪な表情に深みが増す飛鳥様。
なのに、陽太様は考えることに夢中でフォローをしてくださらない。
確かにね。
飛鳥様からガンガン売られてくる喧嘩を清人様が買われて、車の中で喧嘩が勃発するよりは良いんだけど。
スルーされ続けて飛鳥様の顔がどんどん険しくなっていて⋯
車から降りるまで、目が合わないように、気に触らないようにって。
俺、外ばっかり眺めてたよ。
はぁ、これからどうなるんだろう。
1
お気に入りに追加
887
あなたにおすすめの小説

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。



お世話したいαしか勝たん!
沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。
悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…?
優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?!
※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる