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35 隔離の王子様
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「えっと、い、悪戯とか、悪ふざけとかでは...」
「飛鳥にそんなこと言ったら、問答無用でαをバカにする気かってフェロモン攻撃が来る。
αは、ハルちゃんが考えてる以上に気位が高いからな。
牙をそんな理由で出すわけ無いだろうって、適当なこと言ったらこっちが容赦なくやられるぞ。
まぁ、アイツも、清人がハルちゃんに執着してるのは散々見てるし頭ではわかってると思うんだけどな。
流石に、Ωになってないってのに噛むほど重症とは...正直、俺も可能性としてはそのうち清人がハルちゃんに牙を出すのは考えていたけど、ここまでするのかって驚いてる。
目の当たりにしても、信じられないからなぁ」
陽太様は壁に背中を預けると、俺のうなじに目を向けて「うわぁぁ」と声を漏らしてるんだけどね。
俺も、噛まれるなんて思ってなかったし。
この、ジクジク神経を刺激する痛みがなかったら噛まれたことは夢だったんじゃないかなって。
清人様に好きだって言って貰えたことも。
牙を捧げられたことも。
夢だったんじゃないかなって思うよ。
スクリーンの前で、撮影に応じていらっしゃる清人様は、俺と比べたら次元が違う存在で。
大勢の人に囲まれても、全く動じずに仕事をこなされてる姿は、テレビの中の人みたいに遠い存在だ。
清人様の牙を出すことが出来なかった蓮華さんも、その中の一人になって清人様の御様子を熱心に見ておられる。
「た、確かに、フェロモンレレ...レ、レイプじゃなかったら、俺なんかが清人様に噛まれてるなんて納得されないですよね」
気持ちも伝えて、両想いになれたんだからね。
幸せな気持ちになると思っていたし、なっていた時間もあったんだけど。
今は、違う。
俺と清人様の、不釣り合いすぎるところばかり目がいってしまって声のトーンも下がってしまう。
陽太様は、気落ちしてる俺の肩をポンポンと優しく叩いてくれた。
「俺は、納得してるぜ?
βだろうが、高校生だろうが、関係無いくらい清人がハルちゃんのことを自分のものにしたいのはわかってたからな。
.....Ωになるまでの待てくらいは、出来ると思ってたんだがなぁ」
そのあと呟いた「あんの駄犬がぁ」って言葉は小さすぎたのと。
ちょうどそのとき、清人様がこちらを見てくれたからね。
聞き逃してしまった。
俺も見てますよって伝えたくて、手を上げようとしてね。
先に、隣の陽太様から抱きつかれてしまった。
「ふぁっ、ああ、あの、陽太さ、ま??」
陽太様の顔が俺の肩に乗っていて、その近さにも驚く。
うわぁぁああっ
飛鳥様と清人様の孕親で、父さんと同世代くらいなのにね。
なんか、全然違うっ
同級生のお父さんとも全然違うっ
なんか、良い匂いがするよっっ
ゴツゴツしてないよっっ
「飛鳥にそんなこと言ったら、問答無用でαをバカにする気かってフェロモン攻撃が来る。
αは、ハルちゃんが考えてる以上に気位が高いからな。
牙をそんな理由で出すわけ無いだろうって、適当なこと言ったらこっちが容赦なくやられるぞ。
まぁ、アイツも、清人がハルちゃんに執着してるのは散々見てるし頭ではわかってると思うんだけどな。
流石に、Ωになってないってのに噛むほど重症とは...正直、俺も可能性としてはそのうち清人がハルちゃんに牙を出すのは考えていたけど、ここまでするのかって驚いてる。
目の当たりにしても、信じられないからなぁ」
陽太様は壁に背中を預けると、俺のうなじに目を向けて「うわぁぁ」と声を漏らしてるんだけどね。
俺も、噛まれるなんて思ってなかったし。
この、ジクジク神経を刺激する痛みがなかったら噛まれたことは夢だったんじゃないかなって。
清人様に好きだって言って貰えたことも。
牙を捧げられたことも。
夢だったんじゃないかなって思うよ。
スクリーンの前で、撮影に応じていらっしゃる清人様は、俺と比べたら次元が違う存在で。
大勢の人に囲まれても、全く動じずに仕事をこなされてる姿は、テレビの中の人みたいに遠い存在だ。
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「た、確かに、フェロモンレレ...レ、レイプじゃなかったら、俺なんかが清人様に噛まれてるなんて納得されないですよね」
気持ちも伝えて、両想いになれたんだからね。
幸せな気持ちになると思っていたし、なっていた時間もあったんだけど。
今は、違う。
俺と清人様の、不釣り合いすぎるところばかり目がいってしまって声のトーンも下がってしまう。
陽太様は、気落ちしてる俺の肩をポンポンと優しく叩いてくれた。
「俺は、納得してるぜ?
βだろうが、高校生だろうが、関係無いくらい清人がハルちゃんのことを自分のものにしたいのはわかってたからな。
.....Ωになるまでの待てくらいは、出来ると思ってたんだがなぁ」
そのあと呟いた「あんの駄犬がぁ」って言葉は小さすぎたのと。
ちょうどそのとき、清人様がこちらを見てくれたからね。
聞き逃してしまった。
俺も見てますよって伝えたくて、手を上げようとしてね。
先に、隣の陽太様から抱きつかれてしまった。
「ふぁっ、ああ、あの、陽太さ、ま??」
陽太様の顔が俺の肩に乗っていて、その近さにも驚く。
うわぁぁああっ
飛鳥様と清人様の孕親で、父さんと同世代くらいなのにね。
なんか、全然違うっ
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なんか、良い匂いがするよっっ
ゴツゴツしてないよっっ
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