例えβに生まれても

35 隔離の王子様

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このあと。
スタジオでポスター撮影されてる清人様と、次々話しかけられ対応されてる飛鳥様と離れた場所でね。
俺は、陽太様に今の状況を説明してもらった。

一番大事なのが、変異種Ωが故意に作ることが出来る存在なんだって世間にばれないこと。
これをなによりも優先しないと、社会の秩序を揺るがしかねないのは俺にもわかってるからね。
もちろんですって頷いたよ。

でも、飛鳥様ならね。
もし知っても、悪用なんてされないと思うんだよね。
陽太様は、こんな重大秘匿事項の流出は極力避けなきゃいけないし、飛鳥様はしっかりしているように見えて案外そうでもないんだと信じられないことを言われた。
飛鳥様がしっかりしてなかったら、どんな人がしっかりしてるって言うんだろう！

お忙しそうに、スタッフさんや背広姿の、こう、見るからに偉い方々と笑顔で話されているんだけど。
スクリーンの前で花束を手にした清人様はね。
立ってるだけでも十分絵になるし。
カメラマンさんも、清人様が俯いたり、花束を抱えたりポーズを変えるたびに「いいよ、いいよ！こっちに視線...うわ、もぅ最高っ」って声を張り上げながらシャッターを切られてるのにね。
会話の切れ間？なのかな？？
清人様がポーズを変えると、「指先まで意識しなさい！」「無表情しかできないなら、視線で表現しなさい！」ってビシビシ指示を出されるんだよ。

きっと、それが的確なんだろうな。
清人様は溜息をついた後にだけど、飛鳥様の言われたことをポーズに入れていくとね。
カメラマンさんは無言で連写。
スタッフさんもお偉いさんも、清人様に釘付け！

ふぁ～、飛鳥様も清人様も本当にすごいぁ。
こんな風に、今まで見ていた雑誌の清人様は撮影されていたのかぁ。

離れていると清人様のことを見れるようになっていたからね。
陽太様のお話を聞いている途中なのに、何度も何度も撮影が気になってしまった。
陽太様に失礼だって頭ではわかってるんだけど、自然と意識が吸い込まれちゃう。
そのうち、怒られてしまうんじゃないかって心配していたら、陽太様も撮影現場に来られたのは初めてだから「仕方ねぇな」って笑ってくださった。


「で、だ」

「は、はい！」


清人様が衣装を変えている間の、貴重な貴重な話に集中できるときにね。
陽太様は、とても難しい顔をされて俺にお願いをされたんだよ。