593 / 621
35 隔離の王子様
12
しおりを挟む
「使用人として代々雇われてきた家に生まれながら、愚弟とは言え菊川家のαにフェロモンレイプなんて冗談にもならないわっ」
陽太様を押しのけた飛鳥様が、俺に向かって手を伸ばしてこられる。
花火模様がカラフルに彩られた爪が、殺傷能力が高い武器にしか見えないよ!
五本の爪に、引き裂かれるっ
その指はまるで一本一本が包丁みたいに大きく見えるくらいの迫力で、次の瞬間、喉を裂かれる未来の俺が視えたんだけどね。
それを止めたのは、飛鳥様の怒りに燃料を追加する嘲笑混じりの清人様だった。
「猪突猛進でα至上主義の固定観念に凝り固まったお前には、その程度のことしか推察できないのか」
「はぁ?!」
俺に届く直前で飛鳥様の手首を受け止め、力づくでその手を下ろさせようとする清人様。
風圧が俺の頬を撫でるくらいの速さがあったんだけど、間一髪で救われる。
両方の交差した腕がブルブル小刻みに震えていて。
睨みあいながら、言い合う余裕もないくらい拮抗した無言の二人のやりとり。
清人様の腕が、小さな幅で上に下に移動するけど、圧倒的な差はないようで。
俺の片方の手を握らせているままの清人様にとって、間にいる俺がとても邪魔だってわかってるんだけどね。
本当に、怖くて怖くて、一歩も足が動かない。
むしろ、清人様の手がなくなったら立てなくなると思う!
「だから、やめろって言ってるだろうがっ!!」
パーンッ
その戦いを止めたのは、陽太様。
サンダルのようなラフな足元が定着している陽太様には珍しく、履いていた革靴を両手に持って同時に二人の腕めがけての思いっきったフルスイング。
それでも、互いに牽制しあって力を抜こうとしない二人に、陽太様も怒髪天。
「てめーら、これ以上荒立てるなら、澪のフェロモンで制圧し、一週間なんにも食えなくしてやるぞ!!!
さっさと離れて、この部屋に籠ったどぎついフェロモンおさめねーかっ」
その一喝は、とても威力があったようで。
二人は同時に舌打ち。
目も合わせず、互いの腕を振り払うようにして離れた。
陽太様を押しのけた飛鳥様が、俺に向かって手を伸ばしてこられる。
花火模様がカラフルに彩られた爪が、殺傷能力が高い武器にしか見えないよ!
五本の爪に、引き裂かれるっ
その指はまるで一本一本が包丁みたいに大きく見えるくらいの迫力で、次の瞬間、喉を裂かれる未来の俺が視えたんだけどね。
それを止めたのは、飛鳥様の怒りに燃料を追加する嘲笑混じりの清人様だった。
「猪突猛進でα至上主義の固定観念に凝り固まったお前には、その程度のことしか推察できないのか」
「はぁ?!」
俺に届く直前で飛鳥様の手首を受け止め、力づくでその手を下ろさせようとする清人様。
風圧が俺の頬を撫でるくらいの速さがあったんだけど、間一髪で救われる。
両方の交差した腕がブルブル小刻みに震えていて。
睨みあいながら、言い合う余裕もないくらい拮抗した無言の二人のやりとり。
清人様の腕が、小さな幅で上に下に移動するけど、圧倒的な差はないようで。
俺の片方の手を握らせているままの清人様にとって、間にいる俺がとても邪魔だってわかってるんだけどね。
本当に、怖くて怖くて、一歩も足が動かない。
むしろ、清人様の手がなくなったら立てなくなると思う!
「だから、やめろって言ってるだろうがっ!!」
パーンッ
その戦いを止めたのは、陽太様。
サンダルのようなラフな足元が定着している陽太様には珍しく、履いていた革靴を両手に持って同時に二人の腕めがけての思いっきったフルスイング。
それでも、互いに牽制しあって力を抜こうとしない二人に、陽太様も怒髪天。
「てめーら、これ以上荒立てるなら、澪のフェロモンで制圧し、一週間なんにも食えなくしてやるぞ!!!
さっさと離れて、この部屋に籠ったどぎついフェロモンおさめねーかっ」
その一喝は、とても威力があったようで。
二人は同時に舌打ち。
目も合わせず、互いの腕を振り払うようにして離れた。
1
お気に入りに追加
890
あなたにおすすめの小説

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載

上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる