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35 隔離の王子様
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「なら、早く言えよ。
開けるから貸せ」
陽太様の不機嫌な声は、拗ねてるみたい。
御自分が必死に開けるよう迫っていたのを、飛鳥様がどんな気持ちで眺めていたのか想像されたのかな。
少しは落ち着かれたかな?
「あら、私が開けるわ。
扉の向こうで、愚弟が何しているかわからないもの」
飛鳥様ぁぁーーっ
開けなくて良いですっっ
どうしようっ
ととととと取り合えず、取り合えず、拭いて何か着なきゃっ
この状況をなんとかしたくて、思わず立ち上がってみたんだけど。
どどどどどうしよーっ
気持ちが焦るばかりで、無駄に控え室の中を裸足で歩いて右往左往してしまう。
あぁああぁぁ、落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃっ
歩いてる場合じゃないよぉっ
拭くものと、着るものを探さないとーっ
でも、頭と気持ちと身体がバラバラでね。
全然探すために何をしたら良いのか考えがまとまらない。
俺がパニックになっていたすぐ側で、清人様は冷静だった。
無言でハンガーラックの前まで歩いて、そこからタオル地のガウンを二着抜いて戻ってこられる。
歩きまわる俺の前に、ガウンを手にした腕を広げてね。
俺がぶつかる手前で止まったら、一着は俺の肩に掛けて。
清人様御本人は、部分的に汚れてしまった衣装も下着も躊躇いなく脱いで、美術館に並んでいても見劣りしない彫刻のようにひきしまっていてどの角度から眺めても見とれてしまう身体に羽織られたよ。
フワリと身体を包んだガウンの感触に、意識が覚醒。
あ、俺ガウンをいつのまにか羽織ってる!
良かったぁ。
これで、なんとか裸で対面は避けられた~
清人様は、安心してヘラァと笑った俺の表情の変化が面白かったみたい。
このとき、楽しそうに目を細めてね。
魔王様から王子様に戻っておられた。
俺は、清人様に見られていることにも気付かなくてね。
御二人が入ってこられる前に、ガウンの袖に腕を通そうとしたんだけどね。
それより早く、ピピッと電子音が鳴ってカチリと扉が解錠。
ノック無しで、そこは簡単に開かれてしまった!
「ちょっと待て、飛鳥!」
「どうされたの、陽太さん?
開けたかったんじゃなか...」
お二人は、互いの顔を見ながら先を競うように扉前に立とうとされていたんだけど。
どちらが先に入るか、決まらない内に扉が開いたからね。
控え室の前で、押し合いしていたお二人の二対の瞳がこちらに向かって動いてね。
部屋の中央の清人様と俺を捉えると、お二人とも言葉を失ってしまわれたよ。
開けるから貸せ」
陽太様の不機嫌な声は、拗ねてるみたい。
御自分が必死に開けるよう迫っていたのを、飛鳥様がどんな気持ちで眺めていたのか想像されたのかな。
少しは落ち着かれたかな?
「あら、私が開けるわ。
扉の向こうで、愚弟が何しているかわからないもの」
飛鳥様ぁぁーーっ
開けなくて良いですっっ
どうしようっ
ととととと取り合えず、取り合えず、拭いて何か着なきゃっ
この状況をなんとかしたくて、思わず立ち上がってみたんだけど。
どどどどどうしよーっ
気持ちが焦るばかりで、無駄に控え室の中を裸足で歩いて右往左往してしまう。
あぁああぁぁ、落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃっ
歩いてる場合じゃないよぉっ
拭くものと、着るものを探さないとーっ
でも、頭と気持ちと身体がバラバラでね。
全然探すために何をしたら良いのか考えがまとまらない。
俺がパニックになっていたすぐ側で、清人様は冷静だった。
無言でハンガーラックの前まで歩いて、そこからタオル地のガウンを二着抜いて戻ってこられる。
歩きまわる俺の前に、ガウンを手にした腕を広げてね。
俺がぶつかる手前で止まったら、一着は俺の肩に掛けて。
清人様御本人は、部分的に汚れてしまった衣装も下着も躊躇いなく脱いで、美術館に並んでいても見劣りしない彫刻のようにひきしまっていてどの角度から眺めても見とれてしまう身体に羽織られたよ。
フワリと身体を包んだガウンの感触に、意識が覚醒。
あ、俺ガウンをいつのまにか羽織ってる!
良かったぁ。
これで、なんとか裸で対面は避けられた~
清人様は、安心してヘラァと笑った俺の表情の変化が面白かったみたい。
このとき、楽しそうに目を細めてね。
魔王様から王子様に戻っておられた。
俺は、清人様に見られていることにも気付かなくてね。
御二人が入ってこられる前に、ガウンの袖に腕を通そうとしたんだけどね。
それより早く、ピピッと電子音が鳴ってカチリと扉が解錠。
ノック無しで、そこは簡単に開かれてしまった!
「ちょっと待て、飛鳥!」
「どうされたの、陽太さん?
開けたかったんじゃなか...」
お二人は、互いの顔を見ながら先を競うように扉前に立とうとされていたんだけど。
どちらが先に入るか、決まらない内に扉が開いたからね。
控え室の前で、押し合いしていたお二人の二対の瞳がこちらに向かって動いてね。
部屋の中央の清人様と俺を捉えると、お二人とも言葉を失ってしまわれたよ。
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