例えβに生まれても

三日月

文字の大きさ
上 下
586 / 621
35 隔離の王子様

5

しおりを挟む
「ちょっと、陽太さんどうしてしまったの?
愚弟が何をやらかしてるのか興味はないけど、どうせたいしたことは出来ないんだから落ち着きましょう?」


えぇ??
陽太様の怒鳴り声に比べると、その声の大きさは半分以下だし。
ドンドン扉が叩かれるのか、蹴飛ばされてるのかはわからないけどその音が邪魔して聞き取り辛いけどね。

間違いなく飛鳥様の声がしたよ!
陽太様を宥めて下さってるみたいだけど、清人様を小馬鹿にされてるのは十分伝わってきてます。
扉を睨んでる清人様の顔が、ひきつってるよ。
あぁ、でもでも、唇から見えていた牙が今は引っ込んでいるのは良かった!
牙が出るのは、相手を屈服させたいとか、危険な意味もあるからね。
飛鳥様が清人様の牙を見てしまったら、もしかすると挑発行為だって思われるかもしれない。
そんなことになったら、陽太様がいても収まらないかもしれない。

でも、扉の向こうに飛鳥様まで来ておられるなんて。
一体何が起こってるんだろう。

飛鳥様には、小さい頃からいろんな無茶ぶりをされたし、目の前で清人様といがみ合われるところに何度も遭遇してるしね.....うん、嫌な予感しかしない。

この控え室には、入ってこられない方が絶対に絶対に良いって俺でもわかるよ。

飛鳥様は、清人様が俺を変異種Ωにしたいと思われてることもご存じない。
こんな、あああああ明らかに何かあった俺と清人様を見られたら、どんな反応をされるか想像もつかないよ。

飛鳥様、どうかそのまま陽太様が落ち着くまでこの控え室から一緒に離れてください。
その間に、俺はせめて身体を拭いて服を着ますっ
清人様も、確かお仕事がまだ残ってるって言われてましたしね!

自分がここに着てきた夏用の制服が、扉の脇のハンガーラックにかけられているのを確認。
ボックスティッシュも、どこかにあったよね?

キョロキョロ控え室を見渡して、俺なりに、そう、俺なりにね。
なんとかしようって思ったんだけどね。


「それに、ここの鍵、さっき預かったからここにあるもの」


え??
しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。 ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。 主人公(受) 17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。 ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。 藤宮春樹(ふじみやはるき) 友人兼ライバル(攻) 金髪イケメン身長182cm ベータを偽っているアルファ 名前決まりました(1月26日) 決まるまではナナシくん‥。 大上礼央(おおかみれお) 名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥ ⭐︎コメント受付中 前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。 宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

処理中です...