例えβに生まれても

三日月

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35 隔離の王子様

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夢現の境目に放り込まれた俺の耳に、音が届く。

ドンッ

鈍い、何かがぶつかるような音。
どこから、聞こえて来るんだろう。
どこに、ぶつかっているんだろう。
ここには、俺と清人様しかいないのに。
清人様の身体は、俺の側で俺を抱き締めるためにあって。
俺の身体は、清人様の中にあるのに。

こんな音、するわけないのに。

考えようとしても、清人様の手がグチュグチュ厭らしい動きをするから続かない。
大きな清人様のぺニスは、浮いた細い血管で表面が凸凹していてね。
自分のおちんちんの凸凹と擦れる微少な刺激に息があがる。

清人様に抱きついていないと、その膝から落っこちてしまいそう。
背中に手を回して、気持ちいいことしかわからなくて切なく啼いてしまう。


「アッ...アッ...フッ」

「ハル...ここが好きなの?」


清人様の熱を帯びた声が、優しく耳元で囁いてきて。
ここって、どこ?
ぼんやりした頭の俺に、清人様がその場所を教えてくれた。
堅く張りつめてる先端に、指先で優しくクリクリ円を描かれて素直に熱がトプトプ漏れてしまう。

ドンッ、ドンッ、ドンッ

近いような、遠いような、どこかを打ち付ける音がまだ続いてる。
音の大きさもぶれて、揺れて、よくわからないよ。
清人様と俺しか見えない、聞こえない場所に、音が届いてる。

あれ?
ここって、二人しかいないんだっけ?
ここって、どこだったっけ....?

大事なこと、忘れてる気がする。


「ん...はぁ、あの....きよ......」


清人様から唇を離して、確認したかったんだけどね。
ベットリ濡れた唇を舐められ、無言でそのままパクンと清人様の唇に食べられてしまう。
覆い被さって来られる清人様に、仰け反る背中を支えられ、段々音も意識も遠ざかる。

清人様の舌に舐められた場所が、熱い。
優しく舌を食まれた牙で、もっと他の場所も噛んでとねだってしまう。
このまま、全部食べられてしまいたい.....


「清人ぉーーーーーっっっ
今すぐ出てこないなら、わかってるよなぁ?!」


外からの音が、声に変わって。
清人様と俺以外の声を耳でとらえて。
その声の懐かしい響きに、遠ざかっていた意識が引き戻された。
そうだよ、ここは、二人以外にも人がいるんだよ。
それに、すごくすごく知ってる声だよ、清人様?
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