例えβに生まれても

三日月

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33 興奮の王子様

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「き、清人様ぁ....お、俺、こんな、見られてるのに」


恥ずかしくて恥ずかしくて。
でも、気持ちよくて。
これ以上、おかしなことをしないように、意識を踏みとどめなきゃ。
楽な方に流されちゃいけない、しっかりしなきゃ。

清人様に、甘えたくなる気持ちが自分の中で膨れていくのが怖くて。
言い訳が先に口から出た。

違うんです、清人様。
俺、こんなところで、やらしいことするようなこと、想像したこともないんです。
清人様が、あんな、あんな大人のキスをしてくださるから。
あの、でも、イヤじゃないんですよ?
でも、もっと、なんて・・・

こんな俺を、清人様はどう思われているんだろう。
そっと指の隙間から覗いたら、お仕事モードの清人様がいて。

無表情の清人様が嫌で。
冷えた漆黒の瞳に映されるのがいやで。
優しく笑って頂きたいのに。
なんで?
俺の知ってる清人様は、どこにいってしまったの?

まだ、意識が蕩けて清人様に浸かっていたいた俺は、本当におかしくなっていたんだと思う。
目の前の清人様が冷たくて、清人様から拒否された悲しみが抑えきれずに泣いてしまった。
ボロボロ涙が溢れて。
清人様の服を握り締めて、顔を歪めて泣き出した俺を胸で受け止め背中を擦って下さる。
その手は、暖かくて優しくて。
俺の知っている清人様。

あぁ、そうですよね。
お仕事、だからで。
清人様は俺のことを嫌いになったわけじゃ・・・
ほっと、したんだけど。

けど。

頭の上から聞こえてきたのは、底冷えする冷たい声。


「ハル、こんなに可愛いハルを俺以外に見せないで。
これ以上煽ったら、自制出来ずにヤッちゃうよ?」
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