例えβに生まれても

31 撮影の王子様

32

もう、煌めき清人様の威力に言葉を失って、足から力も抜けちゃって。
椅子に、骨抜きにされてフニャンッと座っちゃったよ。

今更ながら、こんな方に好かれているのが奇跡過ぎて、身に余りすぎて。
清人様を直視するのも畏れ多いっ
テーブルの縁から目が上げられません！

清人様、こんなに綺麗なお顔を毎日見られているのに、なんで俺なんかに可愛いとか言われるんだろう。
モデルもされてるし、俺なんかと比べちゃいけないくらい可愛い方もたくさんたくさん見ておられるよね.....？


｢.......変わった関係、なのかしら？｣


背後の欅平さんは、口のムズムズが収まらないみたいで、突っ込んだ話をしたそうだったんだけど。
清人様に睨まれたのかな？
「ひぃぃっ」って、小さな悲鳴を上げられて。
このあとは、資料を確認しながら黙々と清人様のメイクを先に完成。

俺の方はね。
顔はパタパタで終わったんだけど。
後ろから撮影されるからね。
俯いていた顔を上げるようにお願いされて、カット込みで髪型を整えて下さったよ。

隣に座った清人様から、ずっと見られちゃうのは緊張しちゃうなぁって心配していたんだけど。
顔を上げる前に、清人様が立ち上がられて。
欅平さんの隣に回って、何度も切り方とかセットの仕方を確認されていた。

プロの欅平さんが、清人様に教えてる状況だからね。
美容専門学校の教師と生徒さんみたいになるはずなのに、欅平さんは清人様に教えるシチュエーションが居心地悪いみたいで。


｢もぅ、こわぃんですがぁぁ｣


と、最後なんて半ば泣き言みたいになっていたよ。