例えβに生まれても

三日月

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31 撮影の王子様

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お姉さんに案内された控え室は、建物のエレベーターや廊下の先にあって。
椅子四脚と長机が一つ、壁の一面に鏡が張っていて、その前には椅子が二脚置いてあった。
化粧スペースなのかな?
洗面台もひとつある。

スタジオの控え室は、想像していたより中身はシンプルだった。
カーテンは、ベージュ色の無地。
控え室って、もっと華やかなのかなぁって思っていたよ。

長机の上に、いろんなお菓子や飲み物が用意されていて。
それとは別に、扉の横には清人様宛のプレゼントが積まれていた。

清人様に下ろしていただいたんだけど、震えちゃって足に力が入らない俺はそのままかかえるように椅子に座らせて貰えた。
お姉さんは、清人様に何か話したそうにされているのに、清人様は俺にしか目を向けられない。

ブルブル震えてる俺に、脱いだジャケットを肩から掛けてくださって。
用意されていた飲み物から、ティーパックの緑茶を選んでカップホルダーに紙コップをセットして注いでくださる。

その、甲斐甲斐しく動かれる清人様に、お姉さんは次第に無言。
話しかけるのを諦めて、終わるまで一歩下がってね。
扉の前で待ってくださっていた。


「熱いから気を付けて」


ホルダーに入った紙コップを両手で受け取ったら、表面から立ち上っている熱が身体に伝わってきた。
冷えきっていた肺も、ちょっと暖かくなった気がして緩く息を吐く。
清人様は、そんな俺を見てね。
ほっとした御様子で、微笑んでくださった。
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