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29 空港の王子様
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「お~い、清人。
ハルちゃん大丈夫そうか?」
扉の向こうから、陽太様の声もしてるんだけど。
清人様は、その声には答えない。
まるで、聞こえてないみたいにスルー。
扉の枠組みに両手をかけて、ひょいっと自分の身体を持ち上げて。
楽々扉に片足を引っ掻けて。
躊躇いのない動きは、まるで力をいれてないみたいに軽い。
でも、俺にはそんなこと出来ないですっ
鉄棒懸垂だって五回がやっと。
清人様って、なんでも軽々されちゃうから凄く簡単そうに見えちゃうよ。
そのまま、こちらに飛び降りて来られるのかなって緊張しちゃったけど。
そこで動きはピタリと止まった。
陽太様か「おい、どうなんだ?」って話されてる声ら、俺を見下ろす清人様には本当に聞こえてないのかも。
俺、個室の隅っこにいるだけで見た目は全然大丈夫なのに。
清人様は、俺を目にした途端、笑顔を引っ込めてウルウル瞳を潤ませ、黙って俺を見てるから。
俺もつられて、なのかな。
久しぶりにじっくり見た清人様に、懐かしくって、感動して、ウルウル。
うわぁ、本物の清人様だよ。
トイレの扉の上にいるのに、かっこよさが損なわれずに義賊が侵入してる映画みたいだよ。
ハルちゃん大丈夫そうか?」
扉の向こうから、陽太様の声もしてるんだけど。
清人様は、その声には答えない。
まるで、聞こえてないみたいにスルー。
扉の枠組みに両手をかけて、ひょいっと自分の身体を持ち上げて。
楽々扉に片足を引っ掻けて。
躊躇いのない動きは、まるで力をいれてないみたいに軽い。
でも、俺にはそんなこと出来ないですっ
鉄棒懸垂だって五回がやっと。
清人様って、なんでも軽々されちゃうから凄く簡単そうに見えちゃうよ。
そのまま、こちらに飛び降りて来られるのかなって緊張しちゃったけど。
そこで動きはピタリと止まった。
陽太様か「おい、どうなんだ?」って話されてる声ら、俺を見下ろす清人様には本当に聞こえてないのかも。
俺、個室の隅っこにいるだけで見た目は全然大丈夫なのに。
清人様は、俺を目にした途端、笑顔を引っ込めてウルウル瞳を潤ませ、黙って俺を見てるから。
俺もつられて、なのかな。
久しぶりにじっくり見た清人様に、懐かしくって、感動して、ウルウル。
うわぁ、本物の清人様だよ。
トイレの扉の上にいるのに、かっこよさが損なわれずに義賊が侵入してる映画みたいだよ。
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