例えβに生まれても

16 脅迫の王子様

2

ドスッ

｢お座りもできねぇのかっっ｣


ふぇえええ？！

乱暴な音がして、清人様の身体が俺の上からグラッと傾いた。
衝撃を受けた方向を、ギラッと閃光のような殺意を含めて睨んだ清人様。
その脇腹を、ゲシッと蹴る足が見えて。
間にあったテーブルに清人様の背中や肩が当たって、ガタガタ音がして。

清人様は、床に落ちてしまわれた。


｢大丈夫か、ハルちゃん？｣


よ、陽太様？
足の主は陽太様だった。
眉をひそめ、ソファーに寝転んだままの俺の顔を覗きこみ心配してくださる。
清人様を足蹴にされる方がいるなんて.....じゃなかったよ！

うぅ、取り合えず助かりましたっ

俺だけだったら、噛まれてしまってましたっ
清人様に圧倒されて、身動きとれませんでしたっ