例えβに生まれても

三日月

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12 疑惑の王子様

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俺が二歳として、清人様は七歳になるよね。
小学生のカテゴリーには入るんだろうけど。
とても自分が通ってきた"小学生"と同じなんて考えられないよ!

今は格好良すぎてモデルもされて見惚れちゃう清人様が、童話の世界から抜け出てきたんじゃないかなって信じちゃう可愛さをお持ちだった頃だよね。
それなのに、無表情で冷めた視線しか撮影されていないから、コメンテーターさんが「カメラマンにもっと頑張ってほしかった」なんてぼやかれちゃう小学生の清人様。

そんな方に、きぃたん?!


「あぁ.....ハル、もっと呼んでくれっ」


急に上ずった声で清人様に名前を呼ばれ。
寝ている頭の両側に腕をつき、覆い被さって来られて悲鳴をあげそうになり喉の奥で飲み込んだ。
うわぁぁーーー、無理です!
無ぅー理ぃーでぇーすぅー!

見下ろされた瞳は、妖しく輝いて。
輝きすぎて、怖すぎて。
迫ってくる顔の近さに、鋼のように鳴り響く心臓が身体全部を乗っ取ったみたいに煩く頭の中を占拠して。

ドクドク心臓が動きすぎて、振動でなんだかいろいろ口から出てきちゃいそうですよ!  


「きぃたんと、もう一度呼んでくれ」


冷たい指で俺の唇をなぞりながら、清人様は天使だって魅了してしまう美しい笑みを浮かべていた。
セリフとのアンバランスが凄すぎる。
あぁ、でもそれくらいこの呼び方は清人様には特別なの?

本当に、昔の俺は清人様をそう呼んでいたの?
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