118 / 621
8 誘惑の王子様
16
しおりを挟む
「何で泣くんだよ、ハル?」
清人様は、酷いと言われたことより泣き出した俺が不思議で仕方ないみたい。
首を傾げて、俺の恐怖はちっとも伝わらないらしく「わからないなぁ」と困惑している。
清人様が、困るとか。
そんな場面に遭遇したことなんて無くて。
絶対間違った言葉を返していないのに、揺らぎそうになる。
俺の方が、間違ったことを言ってしまったんじゃないか。
清人様を困らせてまで、言わなきゃいけないことだったのか。
絶対、揺らいじゃいけないのに。
まるで、聞き分けのない子供に言い聞かせるように話し始める清人様の声は。
言いくるめて、飲み込まれて、頷いたら凄く幸せになれることが約束されている気になる耳触りの良さ。
夢心地に蕩けてしまいそうになるくらい、甘くて優しい穏やかな声だった。
「ねぇ、ハル。
ハルがΩになったら、二人で離れずにいられるんだよ?
ハルは、俺と一緒に居たくないの?
俺は居たいよ。
ハルと離れている間、辛くて辛くて会いたくて堪らなかった」
清人様は、酷いと言われたことより泣き出した俺が不思議で仕方ないみたい。
首を傾げて、俺の恐怖はちっとも伝わらないらしく「わからないなぁ」と困惑している。
清人様が、困るとか。
そんな場面に遭遇したことなんて無くて。
絶対間違った言葉を返していないのに、揺らぎそうになる。
俺の方が、間違ったことを言ってしまったんじゃないか。
清人様を困らせてまで、言わなきゃいけないことだったのか。
絶対、揺らいじゃいけないのに。
まるで、聞き分けのない子供に言い聞かせるように話し始める清人様の声は。
言いくるめて、飲み込まれて、頷いたら凄く幸せになれることが約束されている気になる耳触りの良さ。
夢心地に蕩けてしまいそうになるくらい、甘くて優しい穏やかな声だった。
「ねぇ、ハル。
ハルがΩになったら、二人で離れずにいられるんだよ?
ハルは、俺と一緒に居たくないの?
俺は居たいよ。
ハルと離れている間、辛くて辛くて会いたくて堪らなかった」
1
お気に入りに追加
887
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。



お世話したいαしか勝たん!
沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。
悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…?
優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?!
※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる