例えβに生まれても

8 誘惑の王子様

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会えずにいた空白だった時間を、一気にいろんな清人様に埋め尽くされて、俺は窒息しそうです.....
つっつっ番って、番って、何を言い出すんですかっ


｢き、清人様っ、俺、βですよ？｣


知らないわけが、無いですよね？
βは、番になれないですよ。
そんなの、小学生でも知ってますよ？

留学している間に頭を打たれたり、何かあったとしか思えない。
こんなおかしなことを言われるなんて、
どこかに怪我をされてるんじゃないかと心配している俺の顔を。
清人様は、大きな掌で包み込み笑顔を崩さず優しい声音で迫ってくる。


｢うん、俺も、ハルはβだからそんなふうに頭では考えられてなかったんだ。
でも、ほら、Ωはαやβにはなれないけれど、その逆はあるだろう？｣


得意気に口角を上げる清人様。
切れ長の黒い瞳に、どんよりと重たい闇が溶けて混ざり。
その眼差しで圧迫される息苦しさに。

俺は、俺は、どうしたら、いいの？