ヘタレαにつかまりまして

30 舞台

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遥馬さんも、清人さんのカーディガンを握って賛同の意を伝える。
清人さんは、飛鳥さんを睨むのを止めて遥馬さんに向き直り｢少し待っていて｣と優しく話されると。
渋々立ち上がって、移動式ハンガーラックに掛けられた服の確認作業を始めた。

この部屋にいるスタッフやモデルは、清人さんのブランドに普段から関わっていてこの二人の姉弟喧嘩には慣れているらしい。
動きを止めること無く、準備を優先している。
清人さんが確認しやすいように、手持ちアイテムが整理された箱を見易い位置に移動させたり、最終確認に動きを加速させていく。　

飛鳥さんも、他のスタッフやモデルと清人さんが持ち帰った資料を見ながら打ち合わせを始めた。
ヤマは仕事モードに変わった二人の様子に、ほっと息をつく。
ふっと目が合うと苦笑い。
ヤマでもこの二人は手に余るらしい。

自分も着ていた服を脱いで、飛鳥さんの打ち合わせに合流。
昨日のリハーサルでも、二人の仲裁を何度もしていたが、他に適任者が居ないからこのバレンタインコレクションが終わるまでは二人から目が離せないだろうか。