ヘタレαにつかまりまして

三日月

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28 敵視

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ヤマは俺の視線に気づいて、シバシバコンビの横を素通りして走ってくる。
シバシバコンビの睨み合いがすぐ傍にあっても、気にならないのか?

松野は、二人のやり取りに顔をしかめるが動こうとはせず。
奇数であぶれていた竹居は、壁に凭れてニヤニヤ。
合同体育の7組に在籍しているα二人は、慣れた様子で竹居の横まで移動し胡座をかいて囃し立てる。

βの生徒も、シバシバコンビの騒ぎにざわつき授業は完全に停止してしまった。
ヤマが格付けをはっきりさせないために起こる無法地帯。
力が拮抗している二人でも、ヤマがこの場を支配してしまえばこんなことは無くなるんだろうが。
こちらに向かってくるヤマにそんな気はないだろう。

シバシバコンビの間で説得を試みていた教師と目が合えば、困惑と疲労で下り坂だった瞳に期待に満ちた輝きが灯された。
え・・・俺に動けと?

無言で小刻みに首を横に振る。
教師がお手上げな状況で、Ωの俺が表に立てる筈がないっ


「かなちゃん、どうしたん?」


三枝が不審な動きに首を傾げる。
樟葉まで、キョトンと首を傾げた。
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