738 / 1,039
27 デート
42
しおりを挟む
「それに」
そう、それに。
普段は人前で「好きだ」「可愛い」と口にするヤマを諌めている自分が。
Ωの俺を、同等以上に特別扱いするヤマに頭が痛いと思っていた自分が。
「ヤマが好きだと、あの場で言わずにいられなくなってた」
あんな、人前で言ってしまったら。
きっとヤマのことだから、大袈裟なくらい喜んでくれるだろうが。
周りのαやβには、奇異に映る。
ヤマに恥をかかせてしまう。
それは、ヤマが許してくれても。
菊川家が許してくれても。
俺が、嫌だ。
Ωであることを公にして、自分については何を言われても甘んじて受ける覚悟は出来ている。
桜宮財閥にたまたま生まれたΩが、財力を盾にΩ人権解放活動の先駆者である菊川物産のαに番ばかりか結婚まで迫っていると世間の一部からバッシングを受けているのも把握している。
特に年輩のαからは、身の程を弁えないΩだと酷評されていることも、な。
未だにΩに厳しい慣例が残るα社会で、ヤマの評価を下げたくない。
自分の番に恥をかかせるΩになりたくない。
ヤマの足を引っ張りたくない。
そう、それに。
普段は人前で「好きだ」「可愛い」と口にするヤマを諌めている自分が。
Ωの俺を、同等以上に特別扱いするヤマに頭が痛いと思っていた自分が。
「ヤマが好きだと、あの場で言わずにいられなくなってた」
あんな、人前で言ってしまったら。
きっとヤマのことだから、大袈裟なくらい喜んでくれるだろうが。
周りのαやβには、奇異に映る。
ヤマに恥をかかせてしまう。
それは、ヤマが許してくれても。
菊川家が許してくれても。
俺が、嫌だ。
Ωであることを公にして、自分については何を言われても甘んじて受ける覚悟は出来ている。
桜宮財閥にたまたま生まれたΩが、財力を盾にΩ人権解放活動の先駆者である菊川物産のαに番ばかりか結婚まで迫っていると世間の一部からバッシングを受けているのも把握している。
特に年輩のαからは、身の程を弁えないΩだと酷評されていることも、な。
未だにΩに厳しい慣例が残るα社会で、ヤマの評価を下げたくない。
自分の番に恥をかかせるΩになりたくない。
ヤマの足を引っ張りたくない。
1
お気に入りに追加
1,766
あなたにおすすめの小説

孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。

捨てられオメガの幸せは
ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。
幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ
手塚エマ
BL
テオクウィントス帝国では、
アルファ・べータ・オメガ全階層の女性のみが感染する奇病が蔓延。
特効薬も見つからないまま、
国中の女性が死滅する異常事態に陥った。
未婚の皇帝アルベルトも、皇太子となる世継ぎがいない。
にも関わらず、
子供が産めないオメガの少年に恋をした。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる