ヘタレαにつかまりまして

24 婚約発表

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｢こら、咲夜。
今から婚約発表をするのに、不吉な話をするな｣


ヤマに詰め寄ろうとした咲夜の身体が、父さんの腕に抱き上げられる。
隣の母さんも、笑いながら咲夜の頬を指でつついた。

久しぶりに桜宮家の四人が揃い、更にそこに番になったヤマもいる。
ホテルのロビーにいたスタッフが、仕事の手は休めないまでも、５人の動向を気にしているのが気配でわかる。
それにつられてか、ホテル利用者も俺達に気付いて足を止めたり、ざわつき出した。

顔や態度には出さないが、後継者だと思っていた俺がΩで。
規模としては比較にならない菊川物産の次男と番になり、今から婚約発表を自分達のホテルでしようとしているんだから仕方ないことか。

父さんもわかっているみたいで、後ろに控えていた支配人に目だけで合図を送り、他の利用者に迷惑にならないよう動けと命じたらしい。
支配人は軽く頭を下げ、スタッフの気を引き締めるためにカウンターへ歩いていった。


｢すみません、フェロモンレイプの件ではご心配をお掛けして。
それに、今回のことも準備いただいてありがとうございました｣


ヤマは俺から手を離して、両親に深々と頭を下げる。
二人は無言で顔を見合わせてから、俺の顔を覗きこんできた。


｢まぁ、我々は奏のお願いを聞いただけだからな｣

｢そうね｣


顔をあげたヤマも、どういうことだと俺を見てきて。
素直に口に出しなさいと、母さんが柔らかな目で促してくる。
言うつもり、無かったのに・・・