ヘタレαにつかまりまして

23 クラス替え

24

｢固いこと言うなよ｣


くっきり二重の甘いマスク、育ちの良さが現れた気品ある顔立ちなのに、芝浦のニッと笑う顔はいたずら小僧のように砕けて見える。
180cm近い長身は、均整が取れて引き締まっているのが制服の上からでもわかるくらい手足が長い。
恵まれたαの才能が遺憾なく発揮されていた。


｢次に触ったら、教室から叩き出すぞ｣

｢も、触りません、触りませんって｣


両手を振ってヤマの牽制にも笑いながら答えている。
ショートホームルームでは、自分の机に突っ伏して顔もあげれなかったのに・・・芝浦は、やけに一つ一つの動作が憎めない。


｢本人もこう言っているんだから、もう、良いんじゃないか？｣


松野はヤマに話しかけているが、ヤマは俺を芝浦にまだ近づけたくないらしい。
まぁ、松野以外はこの状況に突っ込む気もないのか？

食べ終わった途端にヤマの膝に乗せられて。
横抱きのまま腰を抱えられて。
肩に顎を乗せて密着されて。
カフェテリアにいる生徒からは、チラチラと視線を投げかけられていて。

注目され過ぎて、居たたまれない。
会話に入ることも出来ない。
朝より俺を包み込むヤマのフェロモンが濃いのは、気のせいじゃないだろう。