ヘタレαにつかまりまして

三日月

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ヤマは、真一文字だった口をへの字に曲げて俺を見下ろす。
俺も負けじと、ぐっと目力をこめて見つめ返す。
廊下を歩いている同級生から、なにをしているんだと好奇心に満ちた視線が送られてくるが逸らさない!
絶対に、逸らすものか!

・・・こてん
 
暫くの見つめあいの後、先に白旗を挙げたのはヤマだった。
溜め息をつきながら腰を曲げ、俺の肩に額を押し付けこそっと呟いた。


「うぅ、ずるぃ・・・」


狡かろうが、俺の方が譲れないっ
今の数分で済む捨て身のお願いが、8組でのこれからにかかっているんだからなっ


「恥ずかしがりながら上目使いのお願いなんて、俺が断れる要素がない・・・
俺だってカナを見ていたいのに・・・」


「バカ、そんな目で見られたら、俺が落ち着かないだろう」


ヤマに自分がどんな顔で俺を見てるか、一度鏡を見せるべきかもしれないな。
ヤマは俺の言葉を聞いても、「そんな目?」と不思議そうにするばかりで理解していないようだった。
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