ヘタレαにつかまりまして

三日月

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21 カナ side 倭人

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桜宮の顔が近すぎて、焦点が合わない。
でも、ぼんやりした視覚以外からは桜宮の情報が押し寄せてくる。
耳は桜宮の吐息の音を拾い、鼻が人工の香りに混じって桜宮の甘い体臭を嗅ぎ分けて、額を通して触れている桜宮から体温が伝わってくる・・・

爪の先まで瞬間硬直して、息がつまる!
ってか、無意識に息を止めていた。
俺の動揺は伝わってないのか、桜宮は額を外して今度は両手で首筋を、な、な、撫でてきてっ


「扁桃腺が腫れてるわけでもないな・・・寝不足だけなら、昼食まで少し寝た方がいいんじゃないか?」


真正面から、今度は焦点が合う距離で見据えられる、とか。
も、本当に、無理っ
体調を心配してくれてる桜宮には悪いんだけど、簡単に触れてきちゃダメだって!

桜宮の指先や掌が、ひんやりして気持ちいい、とか。
躊躇い無く触ってくるってことは、もしかしなくても、その指は他の場所も触ったりしてるの、とか。
他の場所って、俺の・・・も入るの、とか。

桜宮の小さな掌に"ヤマ"は握らせたり、な、嘗めさせたり、したり、したりーーーーーっ

息を止めたからなのか、妄想のせいなのか、息苦しくて顔が熱くて。
俺は頭が回らない状況で。
また失念していたことを、目の前に起きた現象で知ることになる。
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