ヘタレαにつかまりまして

20 桜宮 side 倭人

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その後は、俺を焦らせないためか、記憶がない期間の話題は避けて四月入学式の話や中等部の話をして。
桜宮や編入組の三枝は、聞き役に徹していた。

帰り際、松野が話していた学園祭のアンケートについて、桜宮が明後日対応すると答えていて。
話の邪魔をするつもりは無かったから、なんの話だと竹居に聞いてみた。


｢菊川は生徒会長に立候補したんだよ｣

｢俺が、か？｣


生徒会長なんて、中等部で推薦されそうになったとき断ったぐらいだ。
それを、自分からなりたいと手を挙げた？
自分を指で差してまさかと顔をしかめる。
そんなわざわざ目立つこと、するわけがない。


｢そ、今の菊川じゃ想像も出来ないだろうけどな。
今の菊川も、忘れてる菊川も、俺達にとっては変わらないけど。
菊川の中じゃ驚くくらいの変化があったわけ｣


首をかしげる俺を、竹居や笹部は笑って見ていて。
それ以上のヒントは、無いらしい。
口を開きかけていた三枝は、なんとも言えない複雑な顔をしてそのまま帰っていった。