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20 桜宮 side 倭人
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笹部と桜宮が話しているのを見たことがあったから、二年生で同じクラスになって俺も近づけるかなと。
何年ぶりか挨拶から始めてみたけど、反応は変わらなかった。
相変わらず、親のフェロモンにどっぷり浸かったまま。
他のαから攻撃もあったはずなのに、スタイルは一貫していて。
無言のまま真っ直ぐ俺を見ているのに、俺自身を見ているかはわからない目を向けられる。
奇妙な間の後、ポツリと小さく挨拶は返してくれたのに、笹部相手のような言葉のやり取りには至らなかった。
高等部に上がって、また同じクラスになれて。
成長と共にαはマウンティングが全ての基準のように振る舞い出す。
そんな時期が来たのに、一年ぶりに間近で見た桜宮は全然変わっていなかった。
他のαが桜宮に何かしら企んでいる気配もしてたし、俺の下に入らないかフェロモンで誘ってみたけど毎回無視。
俺の誘いを断るなんて、桜宮は面白いな。
このころになると、俺が望んだ距離を保つことが出来るαは群れにいれて。
力の差に本能的に媚を売るαには、こちらからあまりしかけないようにしていた。
多分桜宮なら、きっとずっと俺に媚びることもないし、俺の群れに入ることもなさそう。
貴重な存在かも。
無理強いは好きじゃないし、松野達には独りで居続ける桜宮を気にしないよう伝えた。
悪目立ちする劣等α。
そんな、認識。
それが。
Ωだった、とか。
俺の番になっている、とか。
流石の俺も、すぐには理解が出来そうにないところへ放り込まれてしまい。
覚えがなくても、間違いなく自分の番になっている桜宮が泣いてるのに、声をかけることも出来なかった。
何年ぶりか挨拶から始めてみたけど、反応は変わらなかった。
相変わらず、親のフェロモンにどっぷり浸かったまま。
他のαから攻撃もあったはずなのに、スタイルは一貫していて。
無言のまま真っ直ぐ俺を見ているのに、俺自身を見ているかはわからない目を向けられる。
奇妙な間の後、ポツリと小さく挨拶は返してくれたのに、笹部相手のような言葉のやり取りには至らなかった。
高等部に上がって、また同じクラスになれて。
成長と共にαはマウンティングが全ての基準のように振る舞い出す。
そんな時期が来たのに、一年ぶりに間近で見た桜宮は全然変わっていなかった。
他のαが桜宮に何かしら企んでいる気配もしてたし、俺の下に入らないかフェロモンで誘ってみたけど毎回無視。
俺の誘いを断るなんて、桜宮は面白いな。
このころになると、俺が望んだ距離を保つことが出来るαは群れにいれて。
力の差に本能的に媚を売るαには、こちらからあまりしかけないようにしていた。
多分桜宮なら、きっとずっと俺に媚びることもないし、俺の群れに入ることもなさそう。
貴重な存在かも。
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悪目立ちする劣等α。
そんな、認識。
それが。
Ωだった、とか。
俺の番になっている、とか。
流石の俺も、すぐには理解が出来そうにないところへ放り込まれてしまい。
覚えがなくても、間違いなく自分の番になっている桜宮が泣いてるのに、声をかけることも出来なかった。
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