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20 桜宮 side 倭人
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桜宮を初めて認識したのは、小学生に入った年の春。
もっと前から、α良家の同世代の子息子女を集めた交流パーティのメンバーとして出会っていたはずだけど。
桜宮と他のαを区別してはいなかった。
認識したのは、桜宮が他のαとそのとき違っていたから。
他のαが親から離れて、じゃれる遊びの延長でα同士のマウンティング、格付けフェロモンを出していたのを。
桜宮は壁際で、母親の後ろから一歩も動かず。
関心すら持っていない瞳でそれを眺めていたのを覚えてる。
俺以外にも、マウンティングに興味がないαがいるのは新鮮だった。
本気を出せば、すぐに掌握出来てしまうことをこのときの俺は知っていたから。
既に、他のαとの違いをこのとき自覚していたから。
でも、同じ理由では無さそうだな。
興味津々で早速近寄ると、無言で穴が開くんじゃないかと思うくらい空色の瞳で見つめられた。
気が強そうなのに、少し脆そうな男の子。
そんな印象だった。
同じ瞳を持った母親が、無言の桜宮に苦笑して「せっかく来てくれたのにごめんなさい」と申し訳なさそうに謝ってくれた。
自分のフェロモンを一切表に出さずに、両親の愛情が注がれたフェロモンを纏っているのは、まだ小さいその頃なら別段珍しいことじゃなかった。
謝っている母親の背に隠れてしまったから、人見知りや引っ込み思案なのかと思ってそれからあまり近寄らないようにした。
それからしばらくは、住んでる地区が違うから小学校は別だったし。
桜宮と会うのはパーティのとき限定。
でも、パーティの間、俺は松野や竹居、笹部と行動してたし。
桜宮は相変わらず壁際に居続けたから全然接点は無かった。
ちょっと近づいたのは、中高一貫教育の茅野学園に入ったとき。
中学に入って親のフェロモンを外さないαは悪目立ちする。
案の定、桜宮は他のαから目をつけられていた。
笹部が面白いαがいると、入学早々親離れできない桜宮にかなちゃんとあだ名をつけていたが。
笹部はからかいはしても、無闇なことはしないし。
桜宮自身も、親のフェロモンを纏い続けているのは事実だからからかいを強く否定もしていなかった。
もっと前から、α良家の同世代の子息子女を集めた交流パーティのメンバーとして出会っていたはずだけど。
桜宮と他のαを区別してはいなかった。
認識したのは、桜宮が他のαとそのとき違っていたから。
他のαが親から離れて、じゃれる遊びの延長でα同士のマウンティング、格付けフェロモンを出していたのを。
桜宮は壁際で、母親の後ろから一歩も動かず。
関心すら持っていない瞳でそれを眺めていたのを覚えてる。
俺以外にも、マウンティングに興味がないαがいるのは新鮮だった。
本気を出せば、すぐに掌握出来てしまうことをこのときの俺は知っていたから。
既に、他のαとの違いをこのとき自覚していたから。
でも、同じ理由では無さそうだな。
興味津々で早速近寄ると、無言で穴が開くんじゃないかと思うくらい空色の瞳で見つめられた。
気が強そうなのに、少し脆そうな男の子。
そんな印象だった。
同じ瞳を持った母親が、無言の桜宮に苦笑して「せっかく来てくれたのにごめんなさい」と申し訳なさそうに謝ってくれた。
自分のフェロモンを一切表に出さずに、両親の愛情が注がれたフェロモンを纏っているのは、まだ小さいその頃なら別段珍しいことじゃなかった。
謝っている母親の背に隠れてしまったから、人見知りや引っ込み思案なのかと思ってそれからあまり近寄らないようにした。
それからしばらくは、住んでる地区が違うから小学校は別だったし。
桜宮と会うのはパーティのとき限定。
でも、パーティの間、俺は松野や竹居、笹部と行動してたし。
桜宮は相変わらず壁際に居続けたから全然接点は無かった。
ちょっと近づいたのは、中高一貫教育の茅野学園に入ったとき。
中学に入って親のフェロモンを外さないαは悪目立ちする。
案の定、桜宮は他のαから目をつけられていた。
笹部が面白いαがいると、入学早々親離れできない桜宮にかなちゃんとあだ名をつけていたが。
笹部はからかいはしても、無闇なことはしないし。
桜宮自身も、親のフェロモンを纏い続けているのは事実だからからかいを強く否定もしていなかった。
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