ヘタレαにつかまりまして

19 対処

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｢す、みません｣


素直に謝ると、ふわり、項垂れた頭に触れた手の優しさに恐る恐る顔を上げ。
頬を優しく指でくすぐられ、ホッとした。
次に見えた、狐目を細めた萩野は。
仕方ないなと溜め息をつきながらも、冷気は纏っていなかった。


｢発情に慣れてない、と言う点もありますからね。
次からはお気を付けてくださいよ。
ポンコツαの離脱分を、カバーしようと動いたのは評価が高い。
ただ、もうαを偽る必要はありません。
三枝が指摘したように、周りを頼るのも今後は頭に入れましょうね｣


あれだけ俺のために耐えていたヤマは、相変わらずポンコツで。
三枝は、名前。
萩野の判断基準は腑に落ちない。


｢で、警察、で、いいんですか？
そこの窓に足跡や指紋をつける時間はありますし、世を儚み投身自殺なら今からでも可能ですよ？｣


立ち上がった萩野は、親指で開いた窓を示す。
レストランのおすすめメニューを勧めるような気安さには、笑みまで浮かんでいた。

番が泣くから殺しはしなくなった。

そう言ってなかったか？