ヘタレαにつかまりまして

19 対処

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｢抑制剤で対処したことを、非常扉から出て、生徒会役員に伝えてほしい。
学園祭は、予定通り、残りのメンバーで幕引きを｣


ヤマの汚名には繋げたくない。
表向きは、平穏なままで。
だが、発表は、大々的に行う必要がある。
二度と、手を出すΩが現れないように、内々での幕引きはさせない。
学園主導ではなく、桜宮財閥で全てを仕切る。

抑制剤を注入した直後に、意識を失ってしまったヤマ。
精神的な負担が大きすぎたんだろう。
汗ばみ、紅潮したままの肌に指を滑らせ。
ヤマの唇を割り、平らに戻った歯の並びを指でたどる。
もう、誰もこの牙を狙う気にはならないよう、徹底しないと。

｢あぅ・・・かなちゃん、やらしぃ｣と呟く三枝の声が、俺の耳をするりと通り抜けていく。


｢明日の休日、明後日の振替休日、この二日間は、教員含め箝口令を。
週明け、生徒会から発表。
内容は、俺が考える｣


荒れた新聞部の部室を、どうすべきか・・・新聞部は、耳も早いが口は二つ持っている。
情報発信の軽い口。
情報源を守る重い口。

今回は身内から出た事件。
発信するには荷が重いな。
軽い口さえ、開くのを躊躇うだろう。

学園に主導権を奪わせないなら、生徒会で報告書を作成し開示することになるな。
この現場に警察が来るまで誰も近づかないよう、四階には規制線を張る必要もある。