ヘタレαにつかまりまして

18 巡回

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怒りに任せて立ち上がる。
ガタガタ椅子が音を立て、周囲の視線が集中したが構っているときはない。
すぐにヤマを奪還しに行きたい自分に、頭の中でもう一人の冷静な自分が警鐘を鳴らしていた。

俺一人が駆けつけたところで、ヤマの発情に引きずられて役に立たない。
誰か、動ける人間を連れていかなければ・・・

呆気にとられている笹部を無視して、準備室に繋がる扉まで許可を取りに走る。
解放されていたその向こう、さっき目が合った主に許可を取らなければ。


｢楡原部長っ
学園内トラブルにつき、生徒会として三枝を借ります。
未然に防ぐため説明する時間がない。
学園祭も継続させたいので、トラブルについては後日生徒会から発表する｣


扉の向こう、他の部員に混じりラテアートのパウダーをふるっていた楡原部長の答えを待つ余裕はない。
一方的に捲し立て、右手に握っていたスマホ画面を一瞥。
俺の言葉に反応し、メモ帳が更新されていく。

『了解
　突入経路確保
　境を見極め対処』