ヘタレαにつかまりまして

14 夏休み

9

｢ここに来てからカナがいつも以上に可愛い。
今の顔見て、俺が先に魚釣ってカナぷぅって膨れてたの思い出した｣

｢・・・俺が一匹釣るまでに、三匹以上釣ってたの見たら、羨ましくもなる｣


そんなとこまで見られてたのか。
学校や菊川家よりも、ここの方が構えなくていいから気を抜きすぎてるな。
気を付けないと・・・


｢俺たちは何回も来てるし、慣れてるだけだ。
初めは、二人きりでデートスポットとか考えてたんだけど。
松野や竹居に相談したらここの方がいいだろうって、笹部にも手配してくれたんだ。
ここだと、二人より皆で遊んだ方が楽しいって言われて・・・迷ったけど皆にも参加してもらった。
カナのこんな可愛い顔が見れるなら、あいつらにお礼しないといけないな｣


ヤマの動かす団扇が、止まることなく優しい風を当ててくれて。
目を細め、優しく微笑まれると・・・なんだか恥ずかしい。

松野たちに相談するのもヤマらしいが、自分達の予定もあるのに付き合ってくれるなんて気がいいのか、α特有の序列なのか。
二人だけより松野たちがいた方が、ヤマが発情するような事態も避けられるし正直有難い。