ヘタレαにつかまりまして

10 嫉妬

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｢αとしての格付けについては知識はある。
序列に従うことが基本であることも。
でも、群れの中で順位の入れ替わりもあるし、波もある。
倭人さんは、格付けに拘らず、他の群れのリーダー格と違ってクラスを放任しているように俺には見えていたぞ？｣


ヤマまで困った顔で俺を見てくる。
なんだ、違うのか？
松野は少し声を落とし説明してくれた。


｢まぁ、Ωやβにはそう見えるんだろう。
菊川は確かに強制はしないし、群れにも俺達以外は入れてない。
自分の群れの下につけば守ってやる、それくらいのプレッシャーしかかけてない。
それでもαなら、ヤマの力を肌で感じるし、抵抗はしないというか出来ない｣

｢菊川はすげぇからな。
自分から動かないけど、潜在能力は桁違い｣


まるで自分のことのように笹部は嬉しそうに語る。
はぁ、そんなに凄いαなのか。
何を今さらと竹居は失笑。


｢かなちゃんにも菊川は下につけって格付けフェロモン出してたけど、αじゃないから気付けてなかったんだろ。
俺は、劣等αがてっきり意地になってはねのけてると思ってた。
まぁ、無視されてても菊川は気楽に構えてたから、俺達もかなちゃんになにもしなかったけど。
他のαだったら、無視した腹いせに闇討ちありかもよ。
いくら親のフェロモンがあったからって、よく無傷でいられたよな｣


今まで格付けにまつわるそういったことは俺にもあったんだろうな。
闇討ち前に、萩野が処理して表にも出てないだけで。