ヘタレαにつかまりまして

9 特別棟

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｢どこまで覚えてるんだ？
笹部が来てから今までの記憶はあるのか？｣


意識して教室を圧し、幼馴染みの首を狙いにいったか。
無意識で動いたことなのか。
どちらにしても、俺は学校に退学願を提出するしかないな。

今回は身内だから騒ぎになる前に収まるが、これが他の生徒だったら・・・
番のΩに触れただけのα相手に、傷害事件を起こすなんて、ヤマはもちろん菊川家にとっても不名誉。

いくら菊川家がΩ人権解放運動の立役者でも、一部のαからますます疎まれ忌避されることになる。
俺が原因で、家名を汚すなんてあってはならない。


｢笹部がカナをベタベタ触って、気付いたら目の前にカナのうなじがあった｣


ぼそぼそ話すヤマ。
ギュッと胸に閉じ込められ、落ち着くようにその腕をポンポンと軽く叩く。
間の記憶は抜け落ちてるみたいだから、無意識か。
二度目を起こさないためにも、自覚はさせておくか。


｢ヤマは教室を強制的に支配して、笹部を負傷させた。
あとで謝っておけよ？
身内だから騒ぎは大きくならないだろうが、上級生や友好関係を結んでない相手だったら賠償問題。
お前にも、自分をコントロール出来ない未熟者のレッテルが貼られる｣