ヘタレαにつかまりまして

5 都市伝説 side 倭人

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桜宮は、医師が言ってた通りΩにしては身体も鍛えていたらしくて。
東の離れで過ごし始めた二日目から、毎朝ランニングを始めてる。
俺も初日は案内がてら一緒に走ったんだけど、桜宮から、｢明日から一人で走る｣と断られてしまった。

歩幅も体力も違うから、俺が自分に合わせて余裕で並走されると集中できない、とか。
俺としては、桜宮の可愛さに免疫もつけたいし、あまり番を一人にさせたくないし、出来るだけ一緒にいたいんだけどな。

まだメディアが騒いでるらしくて、学校に行く必要もないから、朝食が始まる七時から逆算して六時半まで寝たふりして桜宮の帰りを待っている。
桜宮から初日に起こされたとき、髪をすかれて気持ち良かったんだ。


｢朝食後、桜宮家に行く前に広報からインタビューがあると飛鳥さんから連絡があった。
二人とも服装は制服指定・・・なんだが、俺は制服は置いてきたしなぁ｣


右手でスマホを操り、左手はまだ俺の頭の上。
桜宮は、画面に夢中で唸っている。
姉貴とは、連絡先交換してるんだな。
姉貴は元番候補で、俺が番相手なのに。


｢・・・桜宮の制服は、新しいのがクローゼットにあった。
多分姉貴が手配して、それで来いってことだろ｣

｢・・・菊川、飛鳥さんが絡むとすぐにフェロモンにも顔にも出るな｣


桜宮は、スマホをベット脇に置いて笑いながら両手で頭を掻き回してくる。
桜宮を包み込んでる俺のフェロモンは、苛立ちに反応して攻撃性を含みうねっている。
俺、フェロモンコントロールには自信があったし、感情任せにこんな分かりやすい反応が出るなんて小学生でも無かったんだけどな。

フェロモンは、嘘をつけない。
コントロールしないと、感情の起伏が顕著に現れてしまう。
今の俺は、桜宮が絡むと全部漏れる。
かなり恥ずかしい状況だ。