ヘタレαにつかまりまして

5 都市伝説 side 倭人

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｢この提携には、菊川物産だけでなく桜宮財閥の社員やその家族の将来も掛かっている。
既に動いているプロジェクトを潰すわけにはいかない｣

｢バカ息子の相手をぶっ通しで18日間も耐えた相手に、親への連絡を最優先と思わせるような言い方をわざとでもするな。
親に会うのは、しっかり立って頭が働くようになってからだ。
この若さなら一週間あれば回復する。
前倒しは俺がゆるさないっ｣


両者の睨み合いにフェロモンの介在は無い。
母さんなら、フェロモンの対象を父さんにだけ絞ることも可能だし。
傍にいる同じΩの桜宮に余波がいくんじゃないかと気遣ってるとかでもない。
母さんは、父さんだけにはフェロモンを使って攻撃することは無いからだ。


｢あの、俺ならなんとかなります。
後半は、休んでる時間もありましたし。
菊川家に迎え入れて貰ったΩとして、為すべきことがあるなら・・・｣

｢桜宮さんが為すべきことは、体調管理だ。
いいな、澪？｣


気を使った桜宮には微笑み、母さんには無し。
それでも母さんは、よっぽどのことがなければ父さんの言ったことは優先して考える。
よっぽどのことがあるなら、父さんが分かるまで説明する。

父さん以外の家族や社員には、指示の実行しか認めない。
母さんは、自分に絶対の自信を持つ。
反論も意見も助言も、許してるのは父さんだけだ。

今も厳しい顔はしてるけど、父さんの話を聞いて自分の考えと照合、最善策を作り替えてる。