ヘタレαにつかまりまして

三日月

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4 予想外

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バカバカバカ、ふざけんなっ
お前が出来ないなら、俺から抜かせてやるっ

とにかく、こんな宙に浮いたまま抱きしめられている場合じゃない。
足場の確保をして、さっさと逃げなければ本能に負けてしまう。
壁にぶつけた額の痛みより、腹部に残っている種火が勢いを増していくのを感じる。
この痛みで正気を踏みとどめていられる間に、なんとかしないと。
もうすぐそこに限界が来ていることを察した焦りから、後先考えず足先をつりそうなくらいグッと伸ばし、床につけようと力を込めた。
その動きが良くなかったらしい。
自然にキュンッと後孔を締めてしまっていた。


「はぁ⋯」


菊川の悩ましい息を耳に吹きかけられ、ゾクゾク背筋が震え身体が火照る。
あぁ、種火どころじゃない。
求められる喜びに、涙がじんわり浮かんでしまう。
緩んだ意識と身体。
ドロリと内側から漏れ出した生暖かい感触に、思わず俺の口から甘い吐息まで漏れてしまった。


「桜宮、急に、力入れられると」

「ふぁぁ⋯ん、こら、な、んで、でかくなんだよぉ」


しかも、巨大化してるっ
みっちり限界まで埋まっていた場所が、中から押し広げられて皮膚が突っ張り縦にも横にも拡張されていく。
恐ろしいのは、そのピリピリした痛みに逃げようともせず、腰を動かし自らもっと深くまで来いと菊川の腹に尻を押し付けたくなっている俺だ。
一体、Ωの身体はどうなっているんだ⋯
こんなことしている場合じゃないと自制する気持ちが薄れて止められない。

菊川の腕に抱きとめられてから、一体俺はどうしていたのか。
思い出したことより、思い出せないことの方が多すぎる。
抱き締めてくる菊川の制圧フェロモンが、頭がくらくらするくらい濃厚さを増し身体にまとわりついてきて「欲しい」「欲しい」と俺を追い詰める。
俺の身体だけじゃなく、意識まで番のαに従えと迫ってくる。


「ベット、もう嫌、言わない?
俺も、服脱いで、いい?」

「は?
何言ってんだ?
俺は、抜けって⋯抜けっていってるだろぅ」


ベットについても服についても、まるで身に覚えが無い。
意識の残骸をかき集め、自分の変化に蓋をしてここから逃げようとするがうまく行かない。
上擦った声に力なんて無く、寧ろ涙で震え甘えていた。
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