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4 予想外
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「ヤ、ダ、も、無理ぃぃーッ」
次に我に返ったこのときから、解放されるまでの菊川とのアレコレについて俺は一生忘れないだろう。
高く上げさせられた両手をまとめて壁に縫い付けられ、後ろから突きあげられる衝撃で額がゴンゴン音を立てるほどに壁へぶつけられている。
その痛みが引き金になり、ようやく意識が戻った。
戻ったところで、状況は何も変わらない。
無意識に立とうと力を込めた両足は宙を掻き、反して内部を荒らすモノの大きさも形も克明に知ってしまい狼狽えてしまった。
何が起こっているのかわからない俺の戸惑いなど気にもされず、ひたすら攻めてくる動きを止めたくて、いや、とうに自分の限界を超えていることを感覚で十分知り得たから真っ先にギブアップを告げたんだが。
掠れて裏返った声が、自分の声とは思えない。
それに、足を伝う濡れた感触がゾクゾク背筋を震わせる。
内部でニュプニュプ音を立てながら、侵略を繰り返す動きに合わせて自分の腰が自然と動いているのはなんでだ?!
状況を把握せねばと冷静であろうとするが、絶え間なく打ち付ける腰の律動と、額に走る痛みに考えがまとまらない。
痛みを訴える前に、なんの前触れもなく背後から身体が引いた。
言葉が通じ、このまま出ていくのかとホッと気を抜いたのだが。
ズンッ
先端の括れから根本までを、勢いよく叩き込む強引な動きにまた額が壁に打ち付けられる。
目の前で星が飛び散る激痛。
でも、同じタイミングで自分が今まで知らない場所をゴリゴリ攻められ、そこからビリビリ走り抜ける快感に身悶えていた。
二つの刺激から逃げようにも、両足は宙に浮いたままだし、両手首を掴んだ掌から力は緩まない。
自分を支えているのは、この手首を掴んでいる一組の手と腹の中を好き勝手に暴れる熱くて硬い菊川のペニス、のはず。
おい、と一言声をかけようと試みたが、不安定すぎる体勢でそこから連続して突き上げられる動きを再開されると舌を噛まずに話すことさえ難しい。
俺を拘束する腕は、見慣れた制服で被われている。
だから、後ろでブツブツ言ってるのも菊川のはず。
「はぁっ、ヤバイ、止まんねぇ」
聞こえてくるのは、大体この三語の組み合わせ。
「ヤダ、バカ、止まれっ」と、タイミングを見計らい、何度それに答えても伝わらなくて。
なんとか息を整え、「止まれってばっっ」と叫んだ声は、グズついた涙声に近く迫力には欠けていた。
次に我に返ったこのときから、解放されるまでの菊川とのアレコレについて俺は一生忘れないだろう。
高く上げさせられた両手をまとめて壁に縫い付けられ、後ろから突きあげられる衝撃で額がゴンゴン音を立てるほどに壁へぶつけられている。
その痛みが引き金になり、ようやく意識が戻った。
戻ったところで、状況は何も変わらない。
無意識に立とうと力を込めた両足は宙を掻き、反して内部を荒らすモノの大きさも形も克明に知ってしまい狼狽えてしまった。
何が起こっているのかわからない俺の戸惑いなど気にもされず、ひたすら攻めてくる動きを止めたくて、いや、とうに自分の限界を超えていることを感覚で十分知り得たから真っ先にギブアップを告げたんだが。
掠れて裏返った声が、自分の声とは思えない。
それに、足を伝う濡れた感触がゾクゾク背筋を震わせる。
内部でニュプニュプ音を立てながら、侵略を繰り返す動きに合わせて自分の腰が自然と動いているのはなんでだ?!
状況を把握せねばと冷静であろうとするが、絶え間なく打ち付ける腰の律動と、額に走る痛みに考えがまとまらない。
痛みを訴える前に、なんの前触れもなく背後から身体が引いた。
言葉が通じ、このまま出ていくのかとホッと気を抜いたのだが。
ズンッ
先端の括れから根本までを、勢いよく叩き込む強引な動きにまた額が壁に打ち付けられる。
目の前で星が飛び散る激痛。
でも、同じタイミングで自分が今まで知らない場所をゴリゴリ攻められ、そこからビリビリ走り抜ける快感に身悶えていた。
二つの刺激から逃げようにも、両足は宙に浮いたままだし、両手首を掴んだ掌から力は緩まない。
自分を支えているのは、この手首を掴んでいる一組の手と腹の中を好き勝手に暴れる熱くて硬い菊川のペニス、のはず。
おい、と一言声をかけようと試みたが、不安定すぎる体勢でそこから連続して突き上げられる動きを再開されると舌を噛まずに話すことさえ難しい。
俺を拘束する腕は、見慣れた制服で被われている。
だから、後ろでブツブツ言ってるのも菊川のはず。
「はぁっ、ヤバイ、止まんねぇ」
聞こえてくるのは、大体この三語の組み合わせ。
「ヤダ、バカ、止まれっ」と、タイミングを見計らい、何度それに答えても伝わらなくて。
なんとか息を整え、「止まれってばっっ」と叫んだ声は、グズついた涙声に近く迫力には欠けていた。
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