ヘタレαにつかまりまして

三日月

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4 予想外

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痛みが発情フェロモンの効果を無効化し、Ωの本能に深く堕ちていた思考がパチンと弾けた。
与えられた激痛に身を強張らせ、真っ赤に染まった視界で一時的に混乱。
何故こうなっているのかすらわからないまま、俺は言葉にならない悲鳴を上げて菊川の背に抗議の爪を立てていた。
痛みから逃げたい一心での抵抗なのに、ギチギチと狭い肉壁の間を無理矢理こじ開けて進む侵略は止まらない。


「ぅう、くっ、ア⋯⋯ヒィッ」


息を吐くことも忘れ、菊川の下から逃げようと身体をよじるが抜け出せない。
酸欠と痛みと恐怖でガタガタ震え出した身体に鳥肌が立つ。
そのときになって、漸く自分の置かれた状況を思い出し、拒まず受け入れなければならないのだと頭では理解したが無理だった。
ボロボロと泣き出した俺を見下ろしても、無情に行為を続ける菊川に懇願する。


「と、とま⋯れっ、き、くかわぁっ
も、お、ねがぃ、やめて⋯⋯くれ」



Ωの発情フェロモンは、その身体に高揚と身体への弛緩を促す効果がある。
それは番になるためにαを受け入れる際、身体への負担を和らげるため。

でも、こんなの、全然足りないじゃないかっ
萩野の嘘つきっ

ここにはいない、でも、居れば必ず俺を助けてくれる全幅の信頼をよせる家庭教師兼ボディガードに泣き喚いて今すぐ来てくれと呼び出したい。
俺の力では、この体勢からαに対抗できない。
両腕で菊川の胸を押し上げようとしても、面倒げに片手であしらわれ頭の上で容易く縫い付けられてしまう。
脚で攻撃しようと動かしてみたけれど、腰が浮いて開いた瞬間に侵入を試みられて痛みが増した。

しっかり萎んで縮こまったペニス。
その奥で、限界まで広げられた窄まりに質量を増した菊川のペニスが突き立てられている。
尖端のほんの一部を呑み込むだけで、ギチギチと皮膚が突っ張り拒んでいる。
絶対に菊川だって痛いはずなのに、なんで止めてくれないんだよ⋯

涙をこぼしながら菊川に懇願しているのに、労りの言葉さえなく険しい顔で睨まれる。

やっぱり俺に問題があったのか?
だから、番になるこの行為もこんなに痛むのか?
αとしても、Ωとしても、中途半端な自分が悔しくて歯を食い縛って悲鳴を殺す。

進み続けることをあきらめた菊川は、浅い場所でグチュグチュと抜き差しを繰り返し、無理矢理こじ開ける痛みが薄らいだ。
一度開いた場所だけなら、まだ耐えられる。
俺は、ようやく息を吐き身体から力を抜けるようになった。
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