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4 予想外
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ドクンッ
なんの前触れもなく、それはキタ。
身に覚えのある強い衝撃が身体を撃ち抜き、ドクッドクッドクッ⋯と急激に鼓動が速まっていく。
意識の奥底、自分の中に隠れ潜んでいたものの覚醒にブルッと身体が震えた。
三ヶ月前に一度だけ体験したあの高揚感。
強制的に意識のコントロールを奪われ、Ωの本能に身体が支配されるあの発情期の再来にゾクゾク背筋が震える。
あぁ、ハジマッタ、ハジマッテシマッタ。
番になるために、この瞬間が来るのを待ち望んでいたというのに。
いざ始まると、あの淫らで疚しい自分を菊川に曝け出すことが⋯怖い。
怖い、怖い、怖い。
怖い、のに。
「ヤバ、ィ⋯んっ、ハハッ」
Ωの自分が開放される喜びに、笑っていた。
グニャリと歪む視界、熱にうなされているような覚束ない思考。
波打ち続ける鼓動の数だけ身体は熱を帯び、意識は高揚の上限を容易く飛び越える。
それにつられ、自分の身体から熱が溢れ、発情フェロモンが溢れ、周囲へ流れ出したのを感じた。
自分の身体に収まりきれない熱が、フェロモンとなって外へ溢れてく。
なのに少しも熱は引かなくて、どんどん、どんどん、身体がどんどん熱くなる。
まるで全身の血液が沸騰したようで、自分の発する熱に内側から溶けてしまいそうだ。
「さ、くらみや⋯」
菊川にも、どうやら何が起こっているのかわかったらしい。
驚愕に掠れた声で名前を呼び、あれだけ一切緩めなかった手を慌てて離すがもう遅い。
発情フェロモンの影響で、菊川の意識も身体も俺と似たような状況なのだろう。
よろめきながら逃げようとして、二歩三歩と下がるがうまく足が動かなかったようだ。
足をもつれさせて近くの壁にぶつかり、そこに身体を預けた状態で肩で息をくり返している。
俺も菊川の支えを失い、立っていられずにその場に膝から崩れ落ちた。
「コレって、は、発情?
く、くす、りはっ」
菊川は、腕で鼻や乱れた呼吸を繰り返す口許を覆うが、そんなもの、意味がない。
なんの役にも立たない。
劣情に揺れる互いの瞳が交差する。
菊川がいくら正気を繋ぎ止めようとしても無駄だ。
Ωの発情フェロモンに、抗えるαなんて存在しないんだ。
なんの前触れもなく、それはキタ。
身に覚えのある強い衝撃が身体を撃ち抜き、ドクッドクッドクッ⋯と急激に鼓動が速まっていく。
意識の奥底、自分の中に隠れ潜んでいたものの覚醒にブルッと身体が震えた。
三ヶ月前に一度だけ体験したあの高揚感。
強制的に意識のコントロールを奪われ、Ωの本能に身体が支配されるあの発情期の再来にゾクゾク背筋が震える。
あぁ、ハジマッタ、ハジマッテシマッタ。
番になるために、この瞬間が来るのを待ち望んでいたというのに。
いざ始まると、あの淫らで疚しい自分を菊川に曝け出すことが⋯怖い。
怖い、怖い、怖い。
怖い、のに。
「ヤバ、ィ⋯んっ、ハハッ」
Ωの自分が開放される喜びに、笑っていた。
グニャリと歪む視界、熱にうなされているような覚束ない思考。
波打ち続ける鼓動の数だけ身体は熱を帯び、意識は高揚の上限を容易く飛び越える。
それにつられ、自分の身体から熱が溢れ、発情フェロモンが溢れ、周囲へ流れ出したのを感じた。
自分の身体に収まりきれない熱が、フェロモンとなって外へ溢れてく。
なのに少しも熱は引かなくて、どんどん、どんどん、身体がどんどん熱くなる。
まるで全身の血液が沸騰したようで、自分の発する熱に内側から溶けてしまいそうだ。
「さ、くらみや⋯」
菊川にも、どうやら何が起こっているのかわかったらしい。
驚愕に掠れた声で名前を呼び、あれだけ一切緩めなかった手を慌てて離すがもう遅い。
発情フェロモンの影響で、菊川の意識も身体も俺と似たような状況なのだろう。
よろめきながら逃げようとして、二歩三歩と下がるがうまく足が動かなかったようだ。
足をもつれさせて近くの壁にぶつかり、そこに身体を預けた状態で肩で息をくり返している。
俺も菊川の支えを失い、立っていられずにその場に膝から崩れ落ちた。
「コレって、は、発情?
く、くす、りはっ」
菊川は、腕で鼻や乱れた呼吸を繰り返す口許を覆うが、そんなもの、意味がない。
なんの役にも立たない。
劣情に揺れる互いの瞳が交差する。
菊川がいくら正気を繋ぎ止めようとしても無駄だ。
Ωの発情フェロモンに、抗えるαなんて存在しないんだ。
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