38 / 1,039
3 お花畑
19
しおりを挟む
途中、ソファの上にあったクッションを抱えながら追いかけ、まだ逃げようとする菊川の進行方向目掛けて投げつけ足止め。
反撃してこない菊川を、やっと部屋の角に追い詰めることに成功した。
お腹や腕を壁にべったり張り付け、少しでも俺から遠ざかろうと背を向ける姿からはほど遠すぎる。
「なぁ、今すぐじゃなくても良いだろう?
桜宮に、俺のこと、ちゃんと好きになって欲しいんだよ」
「ヤり放題のαのくせに、なに恋愛脳ぶちかましてるんだ?
お前の頭は、お花畑が広がっているのか?」
俺の隙をついて逃げようとするので、右足を勢いよく壁にドンッとつき退路を防ぐ。
さっきとは、体勢が逆だな。
それにしても、なんだ、このヘタレ具合は?
顔を寄せて見上げれば、つま先立ちで視線ごと顔が逃げていく。
逃げの一手なコイツからは、社長相手に強めていたフェロモンが欠片も感じられない。
今の俺は無防備だ。
威嚇フェロモンを使えば、Ωの俺はお前に近づくことも出来なくなるし、動きを封じて意識を飛ばすことだって簡単なのに。
「な、なぁ、桜宮。
ちょっと落ち着こう、なっ」
視線を宙にさ迷わせながら、上ずってる声でなんとかこの場を切り抜けようとしている。
お前が落ち着け。
ヤル気がない相手を、その気にさせる方法はさすがに習ってないな。
相手が決まってからは、当日は経験者の飛鳥さんが優しくリードしてくれますよと言われていたし。
萩野は、俺が服を脱げばどんなαも襲いたくなるから大丈夫とも言っていたんだが。
やはり、そんな魅力は俺には無かったようだ。
目の前の菊川から、俺を襲ってくる気配がまるで無い。
菊川の前ではずっとαを擬態していたから、Ωとして見ろという方が難しいんだろう。
反撃してこない菊川を、やっと部屋の角に追い詰めることに成功した。
お腹や腕を壁にべったり張り付け、少しでも俺から遠ざかろうと背を向ける姿からはほど遠すぎる。
「なぁ、今すぐじゃなくても良いだろう?
桜宮に、俺のこと、ちゃんと好きになって欲しいんだよ」
「ヤり放題のαのくせに、なに恋愛脳ぶちかましてるんだ?
お前の頭は、お花畑が広がっているのか?」
俺の隙をついて逃げようとするので、右足を勢いよく壁にドンッとつき退路を防ぐ。
さっきとは、体勢が逆だな。
それにしても、なんだ、このヘタレ具合は?
顔を寄せて見上げれば、つま先立ちで視線ごと顔が逃げていく。
逃げの一手なコイツからは、社長相手に強めていたフェロモンが欠片も感じられない。
今の俺は無防備だ。
威嚇フェロモンを使えば、Ωの俺はお前に近づくことも出来なくなるし、動きを封じて意識を飛ばすことだって簡単なのに。
「な、なぁ、桜宮。
ちょっと落ち着こう、なっ」
視線を宙にさ迷わせながら、上ずってる声でなんとかこの場を切り抜けようとしている。
お前が落ち着け。
ヤル気がない相手を、その気にさせる方法はさすがに習ってないな。
相手が決まってからは、当日は経験者の飛鳥さんが優しくリードしてくれますよと言われていたし。
萩野は、俺が服を脱げばどんなαも襲いたくなるから大丈夫とも言っていたんだが。
やはり、そんな魅力は俺には無かったようだ。
目の前の菊川から、俺を襲ってくる気配がまるで無い。
菊川の前ではずっとαを擬態していたから、Ωとして見ろという方が難しいんだろう。
27
お気に入りに追加
1,762
あなたにおすすめの小説
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
聖女よ、我に血を捧げよ 〜異世界に召喚されて望まれたのは、生贄のキスでした〜
長月京子
恋愛
マスティア王国に来て、もうどのくらい経ったのだろう。
ミアを召喚したのは、銀髪紫眼の美貌を持った男――シルファ。
彼に振り回されながら、元の世界に帰してくれるという約束を信じている。
ある日、具合が悪そうな様子で帰宅したシルファに襲いかかられたミア。偶然の天罰に救われたけれど、その時に見た真紅に染まったシルファの瞳が気にかかる。
王直轄の外部機関、呪術対策局の局長でもあるシルファは、魔女への嫌悪と崇拝を解体することが役割。
いったい彼は何のために、自分を召喚したのだろう。
愛しのお姉様(悪役令嬢)を守る為、ぽっちゃり双子は暗躍する
清澄 セイ
ファンタジー
エトワナ公爵家に生を受けたぽっちゃり双子のケイティベルとルシフォードは、八つ歳の離れた姉・リリアンナのことが大嫌い、というよりも怖くて仕方がなかった。悪役令嬢と言われ、両親からも周囲からも愛情をもらえず、彼女は常にひとりぼっち。溢れんばかりの愛情に包まれて育った双子とは、天と地の差があった。
たった十歳でその生を終えることとなった二人は、死の直前リリアンナが自分達を助けようと命を投げ出した瞬間を目にする。
神の気まぐれにより時を逆行した二人は、今度は姉を好きになり協力して三人で生き残ろうと決意する。
悪役令嬢で嫌われ者のリリアンナを人気者にすべく、愛らしいぽっちゃりボディを武器に、二人で力を合わせて暗躍するのだった。
Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜
ニートうさ@秘密結社らびっといあー
ファンタジー
魔法!努力!勝利!仲間と成長する王道ファンタジー!
チート、ざまぁなし!
努力と頭脳を駆使して武器×魔法で最強を目指せ!
「こんなあっさり死んだら勿体ないじゃん?キミ、やり残したことあるでしょ?」
神様にやり直すチャンスを貰い、とある農村の子アルージェとして異世界に転生することなる。
鍛治をしたり、幼馴染のシェリーと修行をして平和に暮らしていたが、ある日を境に運命が動き出す。
道中に出会うモフモフ狼、男勝りなお姉さん、完璧メイドさんとの冒険譚!
他サイトにて累計ランキング50位以内獲得。
※カクヨム、小説家になろう、ノベルピアにも掲載しております。
只今40話から70話辺りまで改修中の為、読みにくいと感じる箇所があるかもしれません。
一日最低1話は改修しております!
俺にとってはあなたが運命でした
ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会
βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂
彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。
その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。
それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる