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SS(書き下ろし)
友達デート 20
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「何?」
「いや、別に・・・」
ふいっと顔を背けたら、三枝と目があった。
(さっさと撒くぞ)
(りょーかいっ)
三枝とはアイコンタクト、樟葉には手を二度強く引いて耳元で「行くぞ」と小さく声をかけ。
その場から足早に立ち去ろうとしたんだが、樟葉が途中で躓きそうになり断念。
三枝は、自分の隣に張り付いている男の視線を樟葉からさえぎり庇うように立ち止まった。
「別に、怖いことしないって!」
「警戒しないでよ~
ちょっと写真撮るだけだって~」
くそっ
二人から挟まれ、身動きが取れない。
俺だけなら、わざと相手に手を出させて正当防衛の範囲で痛い目にあわせてやるんだが。
三枝と樟葉を危険な目に合わせたくないし。
萩野が事前に手を出してないのだから、それ以外の対処法があるんだろう。
俺達が絡まれていることは明白で、周りの人間も心配そうに足を止め始めている。
これには、男達も焦りだしたようだ。
騒ぎになるのは困るからだろう。
この目を上手く利用すれば良いのか?
「な、ほら、そこのゲーセンだからさぁ」
考えがまとまらないうちに、三枝の前にいた男が、宥めるように優しい声を作り樟葉に向かって手を伸ばしてきた。
が
「お客様、困りますっ」
タタタタッと複数の軽快な足音と共に、前方から二人の警備員とスーツ姿の集団が近づいてきた。
どうやら、この施設の従業員らしい。
驚いて樟葉に触れる前に止まった手首を、警備員の丸太のような腕が捕らえて後ろに捻った。
絡んできた男達より大柄で、鍛え抜かれた体躯に二人は焦る。
「いやいや、俺達なんもしてねーよ?」
「そうそう、離してくれよ、いてぇって!
ちょっと遊ぼうって声かけてただけだし」
ヘラヘラ笑っているが、相手の手は緩まず、引き締めた顔には隙もない。
もう一人の警備員が、逃げようとした残りの男性をあっさり確保。
二人とも腕を後ろに捻られ、肩を捕まれ動けなくなった。
警備員は、「訴えるぞ」「怪我させる気かっ」と喚く声には耳を貸さず、「お話は、他の場所で伺いましょう」とこの場から引きずり立ち去っていく。
手際の良さに、俺達は呆気に取られていた。
その間に、警備員達と一緒に来ていたらしいスーツ姿の男性数名が、この場に集まっていた客に向かって「お騒がせしました」と頭を下げて回っている。
ただのナンパとも取れる迷惑行為への対応としては、随分、物々しいし大袈裟じゃないか?
「いや、別に・・・」
ふいっと顔を背けたら、三枝と目があった。
(さっさと撒くぞ)
(りょーかいっ)
三枝とはアイコンタクト、樟葉には手を二度強く引いて耳元で「行くぞ」と小さく声をかけ。
その場から足早に立ち去ろうとしたんだが、樟葉が途中で躓きそうになり断念。
三枝は、自分の隣に張り付いている男の視線を樟葉からさえぎり庇うように立ち止まった。
「別に、怖いことしないって!」
「警戒しないでよ~
ちょっと写真撮るだけだって~」
くそっ
二人から挟まれ、身動きが取れない。
俺だけなら、わざと相手に手を出させて正当防衛の範囲で痛い目にあわせてやるんだが。
三枝と樟葉を危険な目に合わせたくないし。
萩野が事前に手を出してないのだから、それ以外の対処法があるんだろう。
俺達が絡まれていることは明白で、周りの人間も心配そうに足を止め始めている。
これには、男達も焦りだしたようだ。
騒ぎになるのは困るからだろう。
この目を上手く利用すれば良いのか?
「な、ほら、そこのゲーセンだからさぁ」
考えがまとまらないうちに、三枝の前にいた男が、宥めるように優しい声を作り樟葉に向かって手を伸ばしてきた。
が
「お客様、困りますっ」
タタタタッと複数の軽快な足音と共に、前方から二人の警備員とスーツ姿の集団が近づいてきた。
どうやら、この施設の従業員らしい。
驚いて樟葉に触れる前に止まった手首を、警備員の丸太のような腕が捕らえて後ろに捻った。
絡んできた男達より大柄で、鍛え抜かれた体躯に二人は焦る。
「いやいや、俺達なんもしてねーよ?」
「そうそう、離してくれよ、いてぇって!
ちょっと遊ぼうって声かけてただけだし」
ヘラヘラ笑っているが、相手の手は緩まず、引き締めた顔には隙もない。
もう一人の警備員が、逃げようとした残りの男性をあっさり確保。
二人とも腕を後ろに捻られ、肩を捕まれ動けなくなった。
警備員は、「訴えるぞ」「怪我させる気かっ」と喚く声には耳を貸さず、「お話は、他の場所で伺いましょう」とこの場から引きずり立ち去っていく。
手際の良さに、俺達は呆気に取られていた。
その間に、警備員達と一緒に来ていたらしいスーツ姿の男性数名が、この場に集まっていた客に向かって「お騒がせしました」と頭を下げて回っている。
ただのナンパとも取れる迷惑行為への対応としては、随分、物々しいし大袈裟じゃないか?
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