ヘタレαにつかまりまして

三日月

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SS(書き下ろし)

友達デート 13

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通された個室は、こじんまりした作りになっていた。
入った両側の壁付けソファーと、中央にテーブルが1つ。
目の前には、首が痛くなりそうな角度で液晶画面が設置されてている。
詰め込みすぎなくらい、部屋に対して置いているものが多い。

液晶画面と天井のスピーカーからは、お奨めランキングのタイトルコールが流れ、アイドルらしき少女が自分の曲についてハキハキ笑顔でアピールしているんだが俺は聞いたことがない曲だった。
先頭を歩いていた三枝は、早速向かって右に座ったので、三枝をお手本にしたい俺と樟葉は自然とその向かいに並んで座る。


「こっちが食べもんでな。
こっちは飲みもん。
飲み放題もあるんやけど、自分でさっきの受付んとこまでもどらなあかんしな。
止めといた」

三枝は、机の上に置かれていたメニューをこちらに向けて開いて説明してくれる。
この部屋に来るまで、似たような扉と狭くて入り組んだ廊下だったしな。
樟葉なら、飲み物を取りに行って戻ってこれないかもしれない。
俺も、間違って他の部屋に入りそうだ。

三枝の判断は正しいと思ったので「その方が安心だな」と伝えた。
樟葉も自覚はあるらしく、隣で笑っていた。

三人でメニューに目を通し、幾つか注文してシェアすることになった。
メニューテーマに統一性はなく、焼きそばにパスタ、ドリアにラーメンもと多種多様。
ヤマと入ったファミリーレストランより、幅が広い。

歌の間奏でも食べれそうなサンドイッチ、冷めても食べれそうなオムライスとカレー、それとサラダを初回は頼むことにする。
飲み物は、全員烏龍茶で一致した。

三枝は、扉横の受話器を手にして注文をしてくれた。
カチャリと、相手と話し終わって受話器を戻した三枝に礼を言おうとしたんだが。
こちらを振り返った三枝は、突然「最初はグゥ」と言い出した。

なんだ、なんだ?と、わからないままに俺が握りこぶしを作って前に出すと、樟葉もつられて前に出す。


「じゃんけんポィ!」


おぉ??
三枝の合図でなんとなく俺が出したのは、手を開いたパァ。
三枝も同じ。


「フフフ・・・僕の負けだねぇ」


樟葉は、拳を出したままにしていたので負けてしまった。
なんのじゃんけんなんだ?と不思議に思っていたら、カラオケ機器の側面に掛けてあったタブレットと受付で渡された籠に入っていたマイクが三枝から樟葉に渡る。


「一番は、みこちゃんっ」


三枝は、このとき満面の笑顔を浮かべていた。
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