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SS(書き下ろし)
友達デート 6
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俺から、ヤマ抜きで友達と明日遊ぶか迷っていることを正直に話したら、飛鳥さんは食事の手を止めて思案顔。
ぷるんと震える唇に人差し指を当て、ヤマから俺に視線の先を変えるとにこやかに微笑む。
「奏ちゃんがね。
四六時中、ベッタリ引っ付いてくる重たい弟に息が詰まるのもわかるわ。
どこに行こうと張り付いてくるのは鬱陶しいし、しかもこの育ちすぎた大きさだと可愛くもないものね」
グサッ、グサッ、グサッ。
飛鳥さんの刃がヤマにことごとくヒット。
無視した仕返しなのかもしれないが、ヤマには効果覿面だった。
日頃から、もしかして過保護な自分の行動に後ろめたさを感じているんだろうか。
怯えた顔で俺を見てくるから、そんなことはないんだぞと慌ててフォロー。
俺は、ヤマが側にいてくれると安心するし嬉しいからな!
陽太さんは、飛鳥さんの大人げない仕返しに呆れていたが止めさせようとはされない。
フェロモンをぶつけ合うより、被害が少ないからか?
飛鳥さんは、へこんだヤマの様子を見て多少溜飲は下がったらしい。
笑顔から一転、今度は憂いを含んだ表情を俺に向けた。
「でもね、奏ちゃん。
私も倭人と同じで、いってらっしゃいとは送り出せないわ。
そんな警備も薄そうな場所で、奏ちゃんの身に何かあったらショックだもの。
出来れば、役に立つかはわからないけれど、倭人も番犬の代わりにつれていってほしいわ」
穏やかに諭されて、確かになぁと納得はしてしまう。
ヤマにも、飛鳥さんにも、桜宮家で雇ったとんでもないαが俺専属のボディガードをしていることをまだ言えていないんだ。
菊川家の次男の番であり、婚約者でもある。
心配されない方がおかしい。
だが、萩野のことはまだヤマに話して良いか父さんと母さんの許可を貰っていないからな。
来週から始まる春休み中に、桜宮家に行く機会を設けてそこで全てを打ち明けたい。
俺の指は無意識に、首から下がる盗聴機能付きのペンダントと腕時計に触れていた
ぷるんと震える唇に人差し指を当て、ヤマから俺に視線の先を変えるとにこやかに微笑む。
「奏ちゃんがね。
四六時中、ベッタリ引っ付いてくる重たい弟に息が詰まるのもわかるわ。
どこに行こうと張り付いてくるのは鬱陶しいし、しかもこの育ちすぎた大きさだと可愛くもないものね」
グサッ、グサッ、グサッ。
飛鳥さんの刃がヤマにことごとくヒット。
無視した仕返しなのかもしれないが、ヤマには効果覿面だった。
日頃から、もしかして過保護な自分の行動に後ろめたさを感じているんだろうか。
怯えた顔で俺を見てくるから、そんなことはないんだぞと慌ててフォロー。
俺は、ヤマが側にいてくれると安心するし嬉しいからな!
陽太さんは、飛鳥さんの大人げない仕返しに呆れていたが止めさせようとはされない。
フェロモンをぶつけ合うより、被害が少ないからか?
飛鳥さんは、へこんだヤマの様子を見て多少溜飲は下がったらしい。
笑顔から一転、今度は憂いを含んだ表情を俺に向けた。
「でもね、奏ちゃん。
私も倭人と同じで、いってらっしゃいとは送り出せないわ。
そんな警備も薄そうな場所で、奏ちゃんの身に何かあったらショックだもの。
出来れば、役に立つかはわからないけれど、倭人も番犬の代わりにつれていってほしいわ」
穏やかに諭されて、確かになぁと納得はしてしまう。
ヤマにも、飛鳥さんにも、桜宮家で雇ったとんでもないαが俺専属のボディガードをしていることをまだ言えていないんだ。
菊川家の次男の番であり、婚約者でもある。
心配されない方がおかしい。
だが、萩野のことはまだヤマに話して良いか父さんと母さんの許可を貰っていないからな。
来週から始まる春休み中に、桜宮家に行く機会を設けてそこで全てを打ち明けたい。
俺の指は無意識に、首から下がる盗聴機能付きのペンダントと腕時計に触れていた
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