ヘタレαにつかまりまして

34 特殊

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｢時間とらせて悪かったな、三枝｣

｢ううん、こっちこそ、指輪見せてくれてありがとう！｣


笑顔で手を振り、体育館の中へ足取り軽く戻っていく三枝。
早速コートに入るよう言われている声が漏れ聞こえてくる。
その背が、扉の向こうに完全に見えなくなると。


｢あ～、マジ助かったわ。
俺だけだと、なかなか上手くいかなかったし｣


前髪をクシャッとかきあげ、笹部は安堵の溜め息。
俺に珍しく｢かなちゃんのおかげだ｣と言葉をかけてくる。
俺にまで素直に礼を言うなんて。
よっぽど困っていたようだ。


｢笹部、お前、本当に言葉に気を付けろよ？
三枝を泣かせるなんて、本当に・・・｣

｢わかってるって！｣


反省してたように見えたのは一瞬か？
ピシャリと乱暴に言葉を遮り、｢じゃあな｣と鼻唄混じりに帰っていく。
本当にわかってるとは思えないが・・・さすがの笹部も、暫くは気を付けるだろう。


俺もヤマとその場を離れた。