ヘタレαにつかまりまして

32 萩野式

23

樟葉から、夕食は用意するからと言われていたが出されたのは箱膳。
一人ずつ、二段の箱に用意されていた夕食を囲炉裏を囲みながら取った。
一段目は、九つの仕切りに入れられた煮物や天ぷら、焼き魚。
二段目は、山菜のおこわだった。

樟葉は、俺達よりもふた周り小さな箱膳で内容は同じもの。
｢メチャメチャ美味しい～、旅館みたいや～｣と感動しきりの三枝に、初音さんも音さんもニコニコ笑顔だった。



樟葉の部屋に戻り勉強を始める前に、まずは身なりから整えるべく。
帰宅後に心配して様子を見に来た樟葉先輩からヘアゴムを借りて、長すぎる前髪を纏めるところから始めた。


｢みこちゃん、可愛いっっ
いつも、こうしとったらえぇのに｣


樟葉はブルブル首を振って嫌がったが、チラチラ下を見るたびに視界に入っていたら、集中の妨げだ。
勉強を教えてほしいなら拒否するなと、最後は脅しをかけて強行した。