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32 萩野式
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四季折々の花を描いた屏風の前。
三枝の慌てぶりに、互いに顔を見合わせクスッと笑う。
着物姿の女性二人は、俺達を正座で出迎えてくれていた。
三月に合わせた、桃の華が彩りを添える緑地の着物も、白に金刺繍が施された帯も。
帯留めや結った髪の簪まで皆同じ。
だが、身に纏う人が変わるだけでガラリと違って見える。
一人は、キリリと引き締まった眉に、気の強さが現れた女主人の貫禄があるのに対して。
もう一人は、女性と呼ぶにはあまりに小柄で明らかに樟葉の血縁者であることがわかるくらいに頼りなく映る童女と見紛う容姿だ。
「ようこそ、おいでくださいました。
瑠偉の母親、初音と申します」
「この度は、息子が大変お世話になります。
命の孕親(はらおや)、音(おと)と申します」
貴人を迎えるような恭しさで、二人は同時に両手を床について頭を下げた。
三枝の慌てぶりに、互いに顔を見合わせクスッと笑う。
着物姿の女性二人は、俺達を正座で出迎えてくれていた。
三月に合わせた、桃の華が彩りを添える緑地の着物も、白に金刺繍が施された帯も。
帯留めや結った髪の簪まで皆同じ。
だが、身に纏う人が変わるだけでガラリと違って見える。
一人は、キリリと引き締まった眉に、気の強さが現れた女主人の貫禄があるのに対して。
もう一人は、女性と呼ぶにはあまりに小柄で明らかに樟葉の血縁者であることがわかるくらいに頼りなく映る童女と見紛う容姿だ。
「ようこそ、おいでくださいました。
瑠偉の母親、初音と申します」
「この度は、息子が大変お世話になります。
命の孕親(はらおや)、音(おと)と申します」
貴人を迎えるような恭しさで、二人は同時に両手を床について頭を下げた。
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