ヘタレαにつかまりまして

32 萩野式

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昼休みを知らせるチャイムの音で、目が覚めた。
廊下を行き交う足音や声を耳にしながら、ベットに寝たままゆっくりと深呼吸。
横になっていたお陰で、朝より疲れがとれたな。


｢カナ、休めた？｣


三回ノックのあとに扉が開いて、気を使って声を落としたヤマが保健室に入ってきたようだ。
同時に漂ってきた食欲をそそる香りに、お腹が反射的にグーッと鳴る。
ベットを仕切るカーテンを開けたヤマの手には、定食が載ったトレイが一つ。


｢ん、休めた｣


あくびを噛み殺しながら、ゆっくり身体を起こす。
あー、目がショボショボする。
ヤマは、俺の様子にホッと笑みを溢し、ベットの空きスペースにトレイを置いて。
枕元までくると、枕を腰に当てて少しでも楽な姿勢がとれるように調整までしてくれる。


｢本当に、ごめんな・・・｣

｢バカ、謝るな。
謝るなら、ヤマの番として対応出来ていなかった俺の方だ。
言っておくが、今まで以上に気を使って手加減したら、そっちの方が怒るからな｣


トレイを受け取りながら、ヤマを睨む。
一方的な謝罪は不要だと言っても、ヤマはなかなか納得しない。
今朝から何度も謝られている。