ヘタレαにつかまりまして

31 追試

29

｢身に覚えがないんだが・・・｣


｢あ、あんな、目の前で、樟葉を撫でたのにっっ｣


ワナワナ震えるヤマを前にしても、そうだったか？と首を傾げてしまう。
だが、ヤマがこれだけ騒いでいるのを見ると、恐らく撫でたんだろうな。
記憶力に関して、ヤマを疑る余地はない。

ここまで俺が覚えていないのは・・・
樟葉はΩとわかっているし、それほど意識してなかったんじゃないか。
自分のことだが、若干他人事のように分析してしまう。

ヤマは、まるで俺が浮気でもしたかのような苛立ちというか、樟葉への嫉妬、なのか。
かなり怒っているのはわかるんだが・・・そこまでのことだろうか。
そもそも、ヤマの頭に手を触れたのはプライドが高いαへの嫌がらせだったしな。