ヘタレαにつかまりまして

三日月

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不自然な姿勢のまま、動けなくなってしまった俺の後ろにヤマが走ってくる。


「カナ、あの・・・ちょ、ごめんっ
そんな顔、させるつもりじゃなくて」


オロオロと俺に弁解するが、さっきのヤマを忘れられるわけがない。
いつも穏やかに優しく見つめ返されるか、キラキラ眩い笑顔を向けられるか、それこそ目を合わせられないくらいの甘い微笑みか、ゾクゾク腰にくる妖艶な眼差しか・・・今のような、ちょっと情けなく眉を寄せた心配顔、とか。

好意的な視線に慣れていただけに、ヤマに睨まれた記憶は魂の一番深い場所に焼き付いてしまった。


「俺、何か気に触ることをしたのか?」


苛立ちと不機嫌な怒りを含んだ眼差しは、俺に真っ直ぐ向かってきていた。
俺は、一体何をしてしまったんだ?

カタンッ

傾けていた椅子を元の位置に戻して、今日一日を思い返すが心当たりが全くない。
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