ヘタレαにつかまりまして

31 追試

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確かに、同じΩとして勉強方法含め尋ねる先が俺になるのは妥当だとは思うが。
思うが、だ。
なんとかギリギリまで努力した、では済まないぞ。

ギリギリ過ぎて、時間があまりにも足りないだろう。


｢・・・樟葉｣


プリントから目線を樟葉に移す。
名前を呼んだだけなのに、樟葉はビクンッと身体を震わせた。
前髪から覗く右目は、涙が溢れる一歩手前。
ウルウルと揺れて、濡れて、怯えすぎだ。
俺が断るとでも、思っているのか？
　

｢四月からの解答用紙を明日持ってこい。
失点傾向を見る｣


と、いっても。
一桁得点で最後に返却されているのをよく見ているからな・・・この樟葉に赤点回避の傾向何て、あるんだろうか。


｢かなちゃぁんん、ありがちとぅぅぅ～｣


胸に飛び込んでくる樟葉に、ヤレヤレと心の中で溜め息。
自分よりも小柄な樟葉の頭を撫でながら、どうしたものかと考えていた俺は。
顔を上げた柴田が、俺の後ろに立っていたヤマに怯えて固まっていたことに気付いていなかった。