ヘタレαにつかまりまして

31 追試

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目を見開いて、カクンと項垂れるヤマ。
両手で顔を覆うと、｢カナが果てしなく可愛すぎる・・・｣なんてぼやき出す。
可愛いのは、ヤマの方だ。
しかも、それは俺の前限定。

抱き締めたくなるのをこらえ、ヤマに背を向けて、机の上を片付け鞄の中に教科書やノートを入れる。
ついでに、ヤマの鞄にも教科書とノートを時間割りに合わせて用意も済ませる。


｢ヤマ、さっきのプレゼントのことだが・・・シンプルな指輪をペアで作るのはどうかな？
俺がヤマに作って、ヤマが俺に作れば、互いにプレゼントしあえる。
婚約指輪の普段使いだとヤマから申請すれば、校内でも着用許可が下りると思うんだ｣

｢カナ、俺の分までありがとう。
手作りの指輪は俺も嬉しいけど、予算が・・・｣


そう、予算がな。　
正規なら二本も作れそうには、無い。
だが、心当たりはある。
かなり、勇気は必要だが。


｢すぐにとは行かないかもしれないが、頼んでみる｣


机の上からスマホを掴み、チャットで事情を含めて依頼。
なんとか、なるかは・・・遥馬さん次第だ。