ヘタレαにつかまりまして

31 追試

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抱き返す腕に力が入る。
もう、本当に、俺の番は・・・


｢バカ、独り占めにしていいんだ｣

｢ん、でも、カナの自由を奪いたくない。
これからも、電話したり、全然していいからな｣


身体を離して、ヤマの瞳が言葉よりも真摯で暖かく俺に語りかけてくる。
初めての友達からの電話は、俺にとっては間違いなく一大イベントだったが。
ヤマまで真剣に考えてくれるなんて。

一体どれだけ、俺のことを甘やかす気なんだ？


｢ヤマ、ありがとう。
でも、つい長話してヤマとの時間が減るのは嫌だから、途中で時計を見るようにする｣


お互い見つめあって、照れ笑い。
なんなんだ、今更、こんなこと・・・でも、なんだか楽しくて、恥ずかしくて。
ヤマの胸に額を押し付け顔を隠すと、頭を大きな掌で撫でられて。


｢可愛い、カナ｣


耳元で囁かれ益々顔が上げ難くなる。